Jimmy SAKURAI presents
“米国ROCK紀行” Vol.6

2016年8月22日

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みなさんこんにちは、Jimmy SAKURAIです。

ご無沙汰してます!前回の寄稿から10ヶ月も時間があいてしまいましたが(ごめんなさい…)、その間、昨年9月はLED ZEPAGAINのジャパンツアー、そして年末と春、つい先日の6月の帰国では、アメリカから僕のドキュメンタリーフィルムの撮影隊も来日して東京や福岡、郷里の新潟でのライブの様子などを撮影したりしていました。それぞれのライブ会場にお越しいただきサポート下さった皆さんには、あらためてこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました!

LED ZEPAGAIN 2015.9.20 六本木EXシアター ライブレポートはこちらから!>>
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定着しつつあるクルーズショウ

さて、これまでの記事でシティ主催のショー、カジノなど、アメリカのエンターテイメントにおける様々な“場”についてご紹介してきましたが、今回は“クルーズショウ”の様子をご紹介したいと思います。

お伝えしてきたように、Led Zepagainの活動は、地元ロサンゼルスのクラブ(ライブハウス)やシアターでのショウ、各自治体が主催する公共の場でのフェスや、カジノホテルのステージショウ、また他州や隣国カナダ、日本までツアーしたりと、いくつかのスタイルがあるわけですが、中でもちょっと趣きの違う、豪華客船に乗って演奏する日本ではあまり聞かない“クルーズショウ“という仕事もあります。

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一昔前は豪華客船の旅といえば、リタイア世代が世界を廻り、毎夜タキシード姿でクラシック音楽のディナーショーを楽しむようなイメージがありましたが、時代が変わってクルーズの中心顧客となる年齢層が’70~’80年代にロックを聴いた世代に移行してきたためか、最近ではKISSがファンと貸切豪華客船に乗船するクルーズがあったり、僕の友人のフランキー・バナリさんもクワイエット・ライオットでROCK BOATなるクルーズショーでライブをやったりと、ロックミュージシャンの仕事場のひとつとして定着しつつあるようです。

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ライヴの会場となるのは、5千人も乗せられる大型客船。内部はちょっとしたショッピングモールのような作りで、ブランドショップをはじめ、いろんな種類のカフェやバー、レストランも充実しています。およそ15階くらいある建造物の屋上デッキには、いくつかのプールやジャグジー、アミューズメント施設も備えられています。

このような船でカリブ海やバミューダの島々、時にはアジア、ヨーロッパなどコースによって世界中をクルージングして休暇を過ごすというのが、アメリカ人や欧州人のレジャースタイルの一つになっているようです。

数日~数週間の航海の間、日中はデッキで寛ぎながら読書、またはプールや映画館などの各種アミューズメント施設で家族と遊び、夜は大人の時間でバーやクラブ、ホールなどでミュージカルやライブなどのショウを楽しむことになります。そして航海の途中、経由地に寄港する時には、乗客達は陸に上がってその土地を観光したり、マリンレジャーを楽しんでそれぞれの時間を過ごします。

こういうバケーションスタイルは、日本では一般的にはちょっとイメージできませんよね。しかしこれは、規模はちょっと小さくなってしまいますが日本人が家族で温泉やドライブ旅行に出かける感覚かもしれません。もし時差があるほど広いアメリカ本土でドライブ旅行に出るとすれば、移動だけでかなりの時間がかかってしまうわけで、船旅はある意味、オフ日をゆっくり過ごすにはとても合理的なアメリカ的選択かもしれません。ハネムーンはもちろん、結婚記念やお祝いの機会にご両親にプレゼントしたり、友人同士のグループでクルーズを楽しむようなケースが僕の周りでも普通に見られます。国が広いので取れる休暇の日数も多いというわけですね。何より、休暇に対する基本スタンスが、仕事の合間の休みではなく、このようなバカンスを楽しむために働く、というのが欧米人の考え方です。

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僕は今までにニューヨークの湾内を巡りながらを数日かけて洋上を周遊する船や、ジャマイカなどカリブ海の島々を巡るクルーズに乗船して演奏旅行をしましたが、最近乗った船はニュージャージー州の港を出て、数日かけてバミューダからカリブへ航行するクルーズでした。

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翌日の出港を前にLAから、レスポールとダブルネック、ケーブルやペダル類を入れたバッグ(イケベ池袋店ロックハウスで購入しました!)を持って、ニューヨークにほど近い空港に飛行機で移動します。翌朝、迎えの車でマンハッタンがすぐ近くに見える港に行き、そこから乗船するんですが、毎度驚かされるのは客船の大きいこと!船というより巨大な高層リゾートホテルがそのまま海の上を動いていく感じです。

乗船受付のカウンターでは、チェックインの前に手荷物検査があります。これは飛行機の搭乗前の検査と同じなんですが、彼らにとっては毎回乗船する船内エンターテイメントのバンドの手荷物検査は慣れているといった様子で、飛行場での手荷物検査のような気苦労はありません。
僕の場合、ギターの入ったツアーケースをX線で確認した係官が『あ、これはジミー・ペイジのダブルネックですね!』と洒落っ気たっぷりに微笑んでくれたりします。

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仕事とはいえ、僕らのように短期で乗り込むバンドはゲスト(乗客)という扱いなので、一般の客室を割り当ててもらえます。客室の様子はダブルベッドが部屋の約半分を占めていて、あとはクローゼットと二人掛けのソファに使い易いユニットバスがあるだけですが、二人程度でステイするなら充分快適な空間です。航行中の船内は殆ど揺れを感じません。時折大きな揺れがありますが船酔いしてしまうということはありません。

しかし航海中は、正直、僕はフラストレーションが溜まってしまいます。さすがにインターネット環境が良いとは言えず、しかもWifiの使用料が驚くほど高いので、楽しみにしている日本とのスカイプやYouTube試聴はおろか、メールチェックもままなりません。仕事となるショウは夜なので、日中のオフの時間は自室でぼんやり、何の変化もない海をひたすら眺めて寛ぐか、ツェッペリンのライブ音源を聴いてイメージトレーニングとギター練習をして過ごします。よく仲間から「せっかくなんだからプールサイドでビールでも飲んで寝ていればいいのに」なんて言われたりもしますが、とてもそういう気分にもなれず、乗客がレジャーを楽しんでいる日中は不健康にも部屋にこもって過ごすことが殆どです。唯一の外出の楽しみといえば、船の最上階にある眺めの良いビュッフェで食事することでしょうか。このビュッフェは使える時間が決められていますが基本的にアルコールとソーダ類以外はフリー、しかも世界各国の料理が用意されているので、アメリカ食が苦手な僕にはとても有り難かったです。しかしたまにみかける味噌汁にはがっかりです。(笑)

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クルーズショウの様子

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肝心のショウは夜8時から始まって45分のセットを2回演奏するパターンと90分をストレートにというスタイルがほとんどです。船によっては連夜演奏することもあるので、同じお客さんが毎晩続けて観に来ることも想定し、セットリストはなるべく被らないよう変えるなど工夫しなければいけません。

他のライヴと大きく違うのは、基本的に最初からLed Zepagainのショウを観る目的で乗船しているファンはゼロに等しいこと。これはある意味、ショウの内容や出来に対して、オーディエンスから先入観やひいき目なしに、純粋な評価としての反応をもらえるわけで、これには僕も大いに参考になることがあります。普段ライヴに来ないような人たちがショウを観てくれるわけですが、それでもツェッペリンの曲に対する反応はとても良くて、最初は大人しく観て居る人たちが、中盤から終わりにかけては大喜びで拍手喝采してくれます。やはりアメリカにおけるツェッペリンの認知度、人気の高さをあらためて感じさせられます。

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クルーズショウでの使用機材

さて、僕が船上で使う機材の話をしましょう。僕の経験では、バンドの為に船内に用意されているギターアンプは、フェンダーのホットロッドが多いですね。ジミーペイジといえばライヴはマーシャルアンプですが、大抵の場合、どの船にもフェンダーアンプが常備されているようです。フェンダーアンプのほうがジャンルを選ばず扱い易いという理由からでしょう。(一度、ツインリバーブしかなくてドライブサウンドで苦労したことがありました…)

バンドが飛行機で遠征する時は、手荷物数の制限上、自分のアンプまでは持って行けないので、現地の会場側で用意されるアンプでちゃんとペイジのトーンが作れるように、必ずトレブルブースターやドライバーを持っていきます。これがあれば、フェンダー/ホットロッドでも、納得できるツェッペリンサウンドを演出可能です。

ここ最近の僕のお気に入りは「Lizzy Backdo/リジー・バックドゥ」が僕のために製作してくれた、ゲルマニウムトランジスタを贅沢にも二種類使ったブースターです。ゲインの調節はもちろん、使用するアンプによって二種のゲルマのキャラをスイッチで簡単に選ぶことが出来るので、どんな機材が用意されているかわからない旅先の現場では特に助かります。それと「Bloody Red」というオーバードライブもとても重宝します。ある時、この船のショウのようにマーシャルが手配されていないステージで、ZEPAGAINのメンバーが「ジミー、マーシャルがなくてもうまくペイジの音が作れるのか?」なんて心配そうに訊いてきたことがあるのですが、このブースターとドライバーを使っていつも自分のアンプで出しているような音を聴かせると、驚いたように(感心したように?)頷いてくれました。クルーズでもショウのあとに、自分もギタリストなんだけど、というお客さんが「あなたはフェンダーアンプでプレイしていたようだけど、ジミー・ペイジのライブサウンドをどうやってあんなにそっくりに出しているんだい?」と聞かれたことが何回かありました。ちょっとステージに立つ経験のある人ならば、ブースターやドライバーを併用してアンプで歪みを作るという手法は解ってもらえます。そこでいつも疑問に持たれるのが、アンプのドライブとブースターやドライバーの併用によって歪み過ぎてしまい、音がダーティーになってしまうのでは?という問題です。そこで、ピックアップの特性も考慮したうえでそれぞれをセッティングするのが重要だ、という話が出るんですね。僕が全てのハムバッカーで使っているGRINNING DOGのMR.JIMMY Pick Upとの組合せがまずありき、それに合わせてトレブルブースターを使用したサウンドメイク術が有効なんだということを説明してあげると、そうした人達もとても納得してくれるのです。(こういう人たちが普通にクルーズのお客さんの中にいるのもアメリカですね!) 

リジー・バックドゥのブースターは、ルックスも手作り感いっぱいなので、アンプの上にセットしていると共演バンドのミュージシャン達が興味を持ってよく質問してきたりします。

船上では、そんな共演バンドの仲間たちと友達になることもあります。先日は、すでに陸の上の家も車も手放してこの十数年間、ずっと船の上で演奏しながら世界を回って生活している、まるで映画『Legend Of 1900(船の上のピアニスト)』のようなミュージシャンと仲良くなりました。
次回はそんなエピソードもご紹介したいと思います。

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【 Jimmy SAKURAI プロフィール 】


比類なき探究心により、レッド・ツェッペリンのギタリスト「ジミー・ペイジ」を完全再現する世界的な第一人者。その完成度の高さはジミー・ペイジ本人にも認められ、2014年には渡米しアメリカの人気トリビュートバンド「LED ZEPAGAIN」に加入。日本でリーダーを務めた ZEPPELINトリビュート・バンドMR.JIMMYでは秋葉原CLUB GOODMANの草創期にレギュラー出演等、池部楽器店とはギタークリニックなどのコラボレーションも数多い。

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