山崎英明(ex. School Food Punishment / siraph) 「歌」に絡みうねる、フレージングの理由。

2016年11月8日


山崎英明04
 
おれは完全に人間がやってる感じにしてやろうって思って。
 
― School Food Punishment(※)は4~5年くらいやってたんでしたっけ?
 
山崎:うん。そんな感じ。

(※)School Food Punishment・・・内村友美を中心とした、蓮尾理之、山崎英明、比田井修からなる4人組バンド。エレクトロニカ、ポストロック、プログレなど様々な音楽ジャンルを独自の解釈で消化した高度な音楽性、心象と風景とを独自の言葉で映像的に描いた歌詞、そして透明感と芯の強さを併せ持ったボーカルが、感度の高い音楽ファンのみならず、クリエイターやミュージシャンたちから支持を受ける。2012年2月に活動休止を発表し、同年6月11日に解散。山崎は2008年の加入から解散まで在籍。
 
― School Food Punishmentは、ヴィジュアルイメージやルックスとかも含めてすごく洗練されていましたよね。サウンドも音像まで拘り抜いて。そのあたりは、メンバー本人たちが意図するものだったんですか?
 
山崎:ディレクターが、そういう洗練されつつも汚い感じもというか、とにかく「洗練された野蛮」みたいなイメージを持っていたみたいで。アーティスト写真が出た頃は、ディレクターの意図もあって。おれが加入する前は、もっとお洒落な感じのイメージでしたね。
 
― 未だにそのイメージで影響を与えてますよね。サウンド面では、鍵盤とドラムがいて、ギターもいて、歌もあって、同機もあって、その中でベースが「歌おう」とすると大変な箇所もあったんじゃないかと思うんですが。
 
山崎:でも逆に「人間的だったり感情的に歌えるのはボーカル以外ベースしかいない」と思っていたので。やっぱりグリスの雰囲気とかそういうウネウネしてる感じとかって絶対ベースでしか出ないもので。周りはカチカチしてるし、ドラムも鍵盤も。ああいう感じのバンドだとシーケンスみたいに弾く人もいるけど、おれは完全に人間がやってる感じにしてやろうって思って。
 
― 綺麗なんだけどグシャっとした生々しさというのは、山崎さんの効果が大きいんでしょうね。
 
山崎:入るまではスクールフードのような音楽はあまり聴いたことが無くて。ちょっと「涼しかった」の、自分が思ってるものより。おれが今までやってたのはもっと高ぶってる熱さがあったんだけど、冷静に高揚している感じとかそういうものがあまり体験したことが無くて。何か「頭良さそうに熱い」みたいな不思議な感じで、どうして良いか分からないから今までの自分で頑張るしかないってやってはいたんだけど(笑)。
 
― メジャーで2枚(2010年4月14日発表「amp-reflection」 / 2011年7月13日発表「Prog-Roid」)発表していますが、未だに言われることだと思うんですけど、あのまま活動していたら音楽的にもどうなってたんだろうかと。
 
山崎:(笑)。そういうこと言ってもらえるから嬉しい。
 
― 動員や売上枚数以上の影響力がありますよね。
 
山崎:未だに大学のサークルなどでコピーしてくれていたりするらしいです。嬉しいですね、20代前半のコが、おれのベースを良いなって思ってくれていたりするのは。しかも、スクールフードをコピーしてくれているけれど、スクールフードはもうやっていないから、ありがたいなあと思って。
 


 
「本気で後押してやるっ!」みたいなことで、初めて出てくる未知のすごさみたいなものを伝えられたら。

 
― School Food Punishmentの後は、サポートなども含めるとどういった遍歴でしょうか?ここ数年で色んな現場から山崎さんの名前を聞くようになったんですけども。
 
山崎:ヒグチアイ最強スリーピース(※1)、TRUSTRICK(※2)・・・。

(※1)ヒグチアイ最強スリーピース・・・鍵盤シンガーソングライター・ヒグチアイの、山崎英明と畑利樹との3ピース編成。ヒグチアイは、テイチクエンタテインメントより「百六十度」でメジャーデビューを11月23日に控えている。


 
(※2)TRUSTRICK・・・2014年にメジャーデビューした、神田沙也加とBillyによる2人組ユニット。11月後半から5大都市ツアー「TRUSTRICK TRICK TOUR 2016」を開催予定。


 
― 正式メンバーとして活動しているのは、siraph(シラフ)(※)だけですか?

(※)siraph・・・元School Food Punishmentの蓮尾理之と山崎英明、ハイスイノナサの照井順政、Mop of HeadやAlaska Jamの山下賢、ソロアーティストのAnnabelによって結成されたバンド。ライブでは齊藤雄磨による映像投影を交えて独特の世界観を演出する。


 
山崎:そうですね。まぁバンドをやってるかやってないかでイメージも・・・バンドマンかそうじゃないか、みたいな。バンドマンでいたいし、やれるところまでやりたい感じもあります。バンドだけでもそうなのかもしれないけど、仕事だけだとね、絶対何かしらストレス溜まるし、バランス取れたら嬉しいですけど。
 
― 山崎さんのところに仕事の話が来るということは、向こうからすると「ベースで歌ってほしい」わけじゃないですか。そこで「やっぱり抑えて」みたいなこともあったりするんですか?
 
山崎:仕事の話が全部そうではないかもですが、常に120%で構築してレコーディングに向かう姿勢なので、だから削られても100%で帰ってこようとします。それが60%にされて帰ってきたことは今まで一度も無いです。
 
― 最近、幅広くポップスの仕事などもやっていらっしゃるので、そういったところがストレスになってしまったりしないのかなと思っていたんですけど、それはすごいことですね。
 
山崎:でも、ライブだけの仕事もあるので、そこは割り切っているところもありますけど。どうしても音源になっているものに対しての自分はリスペクトが良くも悪くもすごくて。これがパッケージとしてなっているのだから、誰かが完成系としている訳なので。たまにライブプレイヤーで、コード譜見ながらつるっとやりました、原曲とイメージ違ってもバレないなら大丈夫でしょ?みたいな。自分はどうしても真面目に取り組んじゃうんで。
 
― 忠実に原曲から拾っていくんですね。
 
山崎:そうですね。どうしても弾きにくいところは自分の覚えやすいようには変えて行ったりするし、慣れていく内に変えてはいくけど、基本的にはちゃんと原曲から拾うことに楽しみはあったりして。レコーディングに関しては、おれが呼ばれたからにはという感じです。
 
― ・・・今後どうして行きたいですかといっても基本変わらないでしょうね(笑)。
 
山崎:基本変わらないですね。この気持ちを頑なに・・・もうちょっと仕事として広げていければ幸いですみたいなことなので、結局は(笑)。
 
― いわゆるポップス的な仕事も多いじゃないですか。そういうところに例えばsiraphでやっているような濃ゆい山崎印を埋め込みたいみたいなことはあるんですか?
 
山崎:勿論ありますね。おれだったらもっとこうしたいのにとか、絶対ベースが良くなればもっと曲が良くなるっていうこともあって。間違いない身内で何となくやっていくっていうスタンスもそれはそれで仕事が効率的に回って良いのかもしれないけど、でもそこに「おれのベース面白いかもよ」って飛び込んでみたいんですけどね。
 
― 1990年代後半に亀田誠治さんが椎名林檎さんの現場でやったこと・・・想像を超える個性を持って歌い手に相対する手法が、強烈ながら歌い手の存在感をも増す形となり一躍話題となりました。そういった実例を見ていると、山崎さんが歌を活かすべく歌に対して絡んでいく姿勢は僕たちからすると一般の常識を超える発想ですが、プレイヤーとしてもプロデューサーとしても山崎さんの手法で歌を活かす現場が今後さらに増えると思うのですが。
 
山崎:今のところプロデュースみたいなことには興味が無いんですけど、でも全体を見渡したベースラインを必ず作ろうとはしてて。曲全体を左右するような、なおかつ曲を活かして、みたいな。でもそういうプロデューサー的な立場になるには、今まで聴いてきたものが少なかったりするのかなって。よく分からないんですけど。
 
― 山崎さんのフレーズは、本当に「作曲」だと思うんです。何かあるものに対して、それが歌なら歌に絡んで行く感じですよね。上にいるわけでもなく、下にいるわけでもなく。
 
山崎:とりあえず全体の風景の中で自分が、歌と一緒になって何かやれるんじゃなかって思ってたりもするので。ヒグチアイ最強スリーピースでいえば、おれと畑くんは「普通になんとなくやったらそうなるよね」っていうのを一切殺してやろうって感じが共通してあるから。
 
― ではまとめが難しいので(笑)、11月17日のライブの意気込みを聞いておきます。
 
山崎:(笑)。歌が強いっていうのが大前提としてあるんだけど、それを活かすには「シンプルに弾いて寄り添ってあげる」後押しの仕方もあるけど、そうじゃなくて、「本気で後押してやるっ!」みたいなことで、初めて出てくる未知のすごさみたいなものを伝えられたらなと思うんです。でも結果的にそのバトルがうるさくなく揺さぶられる、っていうのが一番良くて。シンプルな場所にも「何となくシンプル」じゃなくてしっかり意志がある、みたいな。おれらがやった時に「すごい」と思わせる、心を掴ませるのが狙いなので。これだったら他の方が良かったって思われないように気をつけてるんじゃなくて、「絶対やってやる」っていうのがあるので。
 
― 素晴らしい、良いまとめの言葉を頂きました(笑)。11月17日、よろしくお願いします。楽しみにしています!
 
山崎:(笑)。まとまった?こちらこそよろしくお願いします!
 


山崎英明 siraph
 
山崎英明(やまさきひであき) >>
 
1974年12月4日 鳥取県出身。19歳で音楽専門学校に入学し、卒業後はscope、ワタナベ、コトホなどのバンドで活動。
2008年からschool food punishmentに加入し、2009年メジャーデビューを果たす。エレクトロの要素を大胆に取り入れたロックサウンドの中で、メロディアスにうねるフレージングと肉感的なグルーヴで頭角を現す。
2012年のバンド解散後は、ドラムの刄田綴色(ex. 東京事変)と共にヒグチアイ最強スリーピースで活動、他にもAnnabel、miwa、baroque、TRUSTRICK、ビッケブランカなど、様々なアーティストのサポートを行っている。
2016年、元school food punishmentの蓮尾理之、ハイスイノナサの照井順政、Mop of HeadやAlaska Jamで活動する山下賢、ソロアーティストのAnnabelによって結成されたバンド、siraphに参加。

 
siraph Official Site : http://www.siraph.com/
Official Twitter : https://twitter.com/yamasakiBass

 


 
山崎英明機材 01

山崎英明が現在使用している、Freedom Custom Guitar ResearchのJBタイプ。(2015年撮影)
 
山崎英明機材 02

コンプや空間系の使い方に“らしさ”が光る山崎英明の足元。(2015年撮影)
 
山崎英明機材 03

サウンド・コントロールの必需品、tc electronic RH750(2015年撮影)
 


 
- BIG NEWS! -

山崎英明×Freedom×イケベコラボモデル・プロジェクト始動!本人愛用機のスペック、イメージを引き継ぎつつ、通常受注可能な仕様へとリニューアルを施し2017年発売予定!


 


 

山崎英明、ヒグチアイ最強スリーピースにて出演決定!

GRANDEY BASS TOKYOで開催され、今回のイベントのサブタイトルにもなっている「Bass Meeting」記念すべき第一回目のゲストであった山崎英明氏がサポートを務める「ヒグチアイ最強スリーピース」にてベースの日Special Live!に登場!ヒグチアイのメジャーデビュー直前という貴重ななタイミングに、ピアノトリオの常識を覆す強烈な印象をを、そして山崎英明の「歌うベース」が存分にお楽しみ頂けることでしょう!「歌ものロック」の範疇を超えたパフォーマンスを是非その目に焼き付けて下さい。
 
ヒグチアイ最強スリーピース

ヒグチアイ最強スリーピース

ボーカル&鍵盤:ヒグチアイ、ベース:山崎英明(ex. School Food Punishment / siraph)、ドラムス:畑利樹(ex. 東京事変)からなる3人編成バンド。2013年より不定期に活動中、まさに「最強」のコラボレートは聴く者の心を揺さぶる。

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