TAKASHI O’HASHI & STEPHEN MILLS -Independent Souls Union Tour- / 魔暦20(2018)年1月21日(日)@秋葉原CLUB GOODMAN

2018年3月21日

大橋隆志がブレント・マスカット、ザック・スローン、そしてスティーブン・ミルズと共にラスベガスで結成したALLEY CATS LV。セルフタイトルとなったEP『ALLEY CATS LV』発表から1年。待望の1stフルアルバム『WHA CHA SAY!』を引っさげての来日ツアーは、ブレント・マスカットの体調不良により活動休止となるアクシデントが発生。大橋隆志とスティーヴン・ミルズはツアーキャンセルという事態を回避するため、サポート・ベーシストに富田毅(ex. JET IN BOOTS)を迎え急遽トリオを編成。新たに-Independent Souls Union Tour-としてツアーを行った。

石原’SHARA’愼一郎(EARTHSHAKER)、寺田恵子(SHOW-YA)をはじめとする豪華ゲストを各地で招き、公演内容は日替わりで変わるというツアーは大きな盛り上がりを見せた。その中でも特に異質な盛り上がりを見せたのが最終公演の地、秋葉原クラブグッドマンである。期待に胸を弾ませざるを得ないメンツでのスペシャルな一夜。今回は全出演者の機材と共に、ソールドアウトとなったツアー最終公演のライブレポートをお送りする。

Text:Ikebe CREATIVE
Photo:Ikebe CREATIVE、I&N YASUDA

 


 

定刻になると待ち焦がれたフロアからの大きな歓声がこだまし、大橋隆志、スティーブン・ミルズ、そしてツアーの数日前にオファーを受け参加が決まったサポート・ベーシストの富田毅が登場し、大橋のソロ楽曲「Whole Lotta Guitars」からライブはスタートした。使用していたギターはこのツアーのメイン機の一つ、THE HERITAGE 555 CLASSIC。ヘヴィなサウンドをいとも簡単に演奏しているように見えるが、扱いの難しいセミアコを操る大橋の技術力には脱帽するほかない。そして2曲目に披露した「Rush Is Coming」では、間奏でMoogのテルミンを操りノイズを炸裂させると、その後も荒々しく激しいギターソロを響かせる。笑顔を見せるその姿は無邪気なギターキッズのようでありながら、渋カッコいい“ワル”のようでもある。フロアの高まりと共に大橋のテンションもぐんっとアップしていくようで、「待ち望んでいたステージ」はあっという間に時間が経ってしまう。

続く3曲目にはALLEY CATS LVのNewアルバムから「Same Ol’ Song」をトリオ編成で披露。ALLEY CATS LVの編成から1本ギターの少ない形でありながら、楽曲のクオリティを流石の演奏力で炸裂させる。アルバムとの聴き比べが楽しみなアレンジである。

続いて「Brave Man Of An Era」は大橋のThe Outsiders時代の楽曲。そして「Luck Of Communication」の前のトークでは『スティーブン先生の英語講座』があり、この日は英語のことわざ『When life hands you Lemon, make Lemonade』が紹介された。これは『逆境はうまく利用しろ』という意味であり、このツアーのメッセージそのものだったように思う。続いてMuddy Watersの楽曲「Got My Mojo Working」が披露された後、最初のゲストとしてThe HYPNOTIC TWINSでの盟友でもあるボーカリスト・カワタコージが呼び込まれた。

のっけから止まらないMCと煽りでフロアを爆笑させるカワタだが、The HYPNOTIC TWINSで発表され、ALLEY CATS LVでもリメイクされた「Come Inside」、今回のツアータイトルでもあるアルバム『Independent Souls Union』の中から「Love Missle」でハスキーでパワフルな歌声で、ブルースハープも交えてフロアを盛り上げていった。

カワタのパワフルなステージングで彩られた3曲が終わり落ち着くかと思いきや、続けざまにACEが呼び込まれさらにフロアの熱が上昇する。まずは演奏の前にMCでACEに話を振っていくカワタの言うことに全く笑顔を見せないACEと、戦々恐々となりながらもどうにか絡もうとするカワタとのやりとりでまたフロアが沸き(最終的にACEも笑顔を見せた)和やかなムードになったところで、大橋のソロ楽曲「Ripeness Days」へ。

ACEがLine 6 Variax 700のボディにCaparisonのネックをカスタムしたギターの甘いトーンに乗せたソロと、ヴィンテージマーシャルから出る熱のこもった大橋のソロとが、スティーブンのグルーブたっぷりのビッグビートの上に乗って、ギターの掛け合いが延々と繰り返された。

ベースの富田の演奏も終始切れ味のあるサウンドを繰り出し、燻し銀ともいえる演奏にも目を奪われる。合間に挟まれる大橋のジェントルなMC、カワタのチャキチャキのMCを随所で挟み、常にテンションは高いまま、観ている側の集中が全く切れないステージであることに驚かされる。

「Ripeness Days」を演奏し終えると、ここでツアーサポートを務めあげた富田に代わり石川俊介がステージへ登場。独特のサムズアップのコール&レスポンスでフロアと一体になると、大橋隆志 feat.ACE名義でアルバム『Independent Souls Union』に収録された「Cats In The Celler」へ。この曲ではACEがリード・ボーカルをとり、大橋が奏でる哀愁のあるギターサウンドも相まって、その演奏は長く一緒にステージを踏んできた者たちの成せる業であることを実感する。

その後、Larry Williamsの「Dizzy Miss Lizzy」まで大いに沸かせたカワタが大歓声の中でステージを降り、大橋、ACE、石川、スティーブンという編成でボブ・ディランのカバー「I Shall Be Released」、さらにALLEY CATS LVのアルバムタイトルナンバー「Wha Cha Say!」へ。じっくり聴かせる楽曲から再度熱を高める楽曲へ巻き込まれ、フロアのテンションも再度上昇。大橋とACEのギターソロ・バトル、石川が前に出てのベースソロまで次々に繰り出される必殺技にフロアも悶絶するほかない。

この間、大橋はFender Telecaster、THE HERITAGE 555 CLASSIC、Aria ProII TA-JAIL “STRIPE BURST”へと持ち替え、エッジの効いた枯れたサウンドや、甘さとシャープさが同居したトーンで、幅広い楽曲を表現して見せた。

いよいよ終盤に差し掛かると、フロアにいた誰もが待ち望んだゲスト、デーモン閣下がステージへ呼び込まれる。昨年末の『デーモン閣下のオールナイトニッポンPremium』に大橋がゲスト出演した際に、この日のゲスト出演が発表され、その時点でソールドアウトとなった本公演。その期待の高さを表すようにこの日一番の大歓声が長く続く。

1曲目はアルバム『Independent Souls Union』に収録された、大橋隆志 feat,H.E.Demon Kakka名義の名曲「Time To Turn Over」。ライブで披露されるのはこの日が初というメモリアルな瞬間に、客席からは感嘆の息が漏れた。

閣下の歌唱力でしか表現しきれないであろう美しいバラードで、荘厳な世界観に釘付けとなってしまう。伸びのあるハイトーンを僅か数メートルの距離で謁見できることも大変貴重だが、さらにこの時ステージ上には、大橋、閣下、ACE、石川という、聖飢魔Ⅱの3rdアルバム『地獄より愛をこめて』(魔暦紀元前13(1986)年)時の黄金のラインナップの4名が並び、そしてそこにスティーブンが加わるという贅沢極まりない、奇跡的なメンツとなっていた。

さらにデーモン閣下とACEが同じステージで共演するのは13年ぶりの出来事でもあった。この日のプラチナチケットを手に入れたオーディエンスの表情からは様々な感情が見てとれる。

閣下のお馴染みのトークタイムでは、「ACE元長官は、今ACEと名乗っているんですよね?世を忍ぶ仮の名字は今、公表していないんですか?」と和やかな昔話も交え、フロアを爆笑の渦に巻き込む。この4名がステージに並び立つ光景に涙を流す長年のファンの姿もあった。

スティーブンがMCで伝えた英語のことわざ『When life hands you Lemon, make Lemonade』をそのまま音で体現するように、「ALLEY CATS LV活動休止」というアクシデントに対して『逆境をうまく利用してみせた』大橋とスティーブン。

大橋は「JAIL大橋」として活躍した聖飢魔Ⅱ時代、世界に飛び出したCATS IN BOOTS時代、そしてその後も国内外で、数々のバンドやソロプロジェクトを通し音楽を世に送り出し続けている。常に一線で活躍する大橋が進化させ積み重ねてきた音楽に多くの仲間たちが賛同し集う。「音楽」で結ばれた独立した魂たちの競演、それが -Independent Souls Union Tour-だった。

最後となる楽曲のアナウンスを受けフロアが非常に惜しがる中、ファンの中で「まさか披露されるとは思わなかった」、そして「最も披露を切望されていた」であろう楽曲、聖飢魔Ⅱの「Fire After Fire」のギターリフが奏でられると悲鳴のような大歓声が会場に響き渡る。

まさかの選曲に、あの頃と目の前の光景とを重ねるように大切に見つめるファンも大勢いたことだろう。メンバーの立ち位置も魔暦紀元前13(1986)年当時と同じ、左から大橋、閣下、石川、ACE。そのシルエットから聴こえてくる音は「本物」。息もピッタリのギターは紛れもなく「JAILとACEの音」だった。曲終了後に閣下が口にした「4/5 聖飢魔Ⅱ」による「Fire After Fire」は、言葉では言い尽くせない圧倒的で特別な何かに包まれていた。

瞬きすらも惜しい、と振り絞るように腕と声を上げ続けるオーディエンスに応えるような白熱のステージが終了し、暖かな拍手が鳴り響く中で富田、カワタも呼び込み全員でカーテンコール。そして、ゲストを送り出した後も大橋とスティーブンはステージに残り、スタッフ、ゲスト、ファンへの感謝を述べると共に-Independent Souls Union Tour-の終了を宣言した。その姿にはツアーを無事に終了できた安堵感が漂っていたように思う。

いつまでも鳴り響く拍手の中で、このツアーで実現したスペシャルな共演がまたいつか見られることを願わずにはいられなかった。

 

01. Whole Lotta Guitars / 大橋隆志(from album 『ROCK’N’ROLL』)
02. Rush Is Coming / 大橋隆志(from album 『Child Of Nature』)
03. Same Ol’ Song / ALLEY CATS LV(from album 『WHA CHA SAY!』)
04. Brave Man Of An Era / THE OUTSIDERS
05. Luck Of Communication / 大橋隆志(from album 『Acodelia』)
06. Got My Mojo Working / Muddy Waters
07. Come Inside / The HYPNOTIC TWINS(from EP 『PDX EP』) , ALLEY CATS LV(from album 『WHA CHA SAY!』)
08. Love Missle / 大橋隆志 feat.JET IN BOOTS(from album 『Independent Souls Union』)
09. Smokin’ Johnny Thunders / ALLEY CATS LV(from album 『WHA CHA SAY!』)
10. Ripeness Days / 大橋隆志(from album 『ROCK’N’ROLL』)
11. Cats In The Cellar / 大橋隆志 feat.ACE(from album 『Independent Souls Union』)
12. Dizzy Miss Lizzy / Larry Williams
13. I Shall Be Released / Bob Dylan
14. Wha Cha Say! / ALLEY CATS LV(from album 『WHA CHA SAY!』)
15. Time To Turn Over / 大橋隆志 feat.H.E.Deomon Kakka(from album 『Independent Souls Union』)
16. Fire After Fire / 聖飢魔Ⅱ

 


 

大橋隆志(Guitar, Vocal)】

<Guitars>
Aria ProII TA-JAIL “DROP BURST”
Aria ProII TA-JAIL “STRIPE BURST”
Aria ProII PE-JAIL “ROCK”
THE HERITAGE 555 CLASSIC
Fender Telecaster ※年代不明

<Effectors>
Fulltone Supa-Trem ST-1 (Tremolo)
T-REX Replica (Digital Delay)
MXR Phase90 (Phaser)
Evolution V2 Sample A & Sample B
electro-harmonix Micro POG (Polyphonic Octave Generator)
Sonic Research Turbo Tuner ST-200 (Tuner)
Ex-pro PS-2 (Power Supply)
Soul Power Instruments 6Loop Jail大橋モデル (Switcher)

<Amplifiers>
Marshall 1959 –Custom Specification- (Head Amp)
Marshall 1982B-LTD (Cabinet Amp) ※会場機材

<Theremin>
Moog Etherwave Theremin
BOSS DD-2 (Digital Delay)
BOSS LS-2 (Line Selector)
Soul Power Instruments Spanking Purplins (Fuzz / Distortion)
CUSTOM AUDIO JAPAN AC/DC STATION (Power Supply)
Roland JC-120 (Cabinet Amp) ※会場機材

<Others>
Aria Pro II Jail大橋 オリジナルピック
SHURE Bate 57 (Microphone)

 


 

Stephen Mills(Drums, Vocal)】

<Drums>
PAiSte 2002 Sound Edge HiHat 15″ pair
PAiSte 2002 Ride 24″
PAiSte 2002 Power Crash 20″
PAiSte 2002 2002 Medium 20″
PAiSte Signature “The Paiste Line” Reflector Heavy Full Crash 19″
SONOR DESIGNER SERIES (Drum Set) ※会場機材

<Snare>
CANOPUS BTR-1465-DH/CH “Type R Series” (Snare Drum)

<Drum Pedal>
dw DW9000 (Drum Pedal)

<Stick>
VATER Power 5B [VHP5BW] (Stick)

<Others>
SHURE SM-58 (Microphone) ※会場機材

 


 

ACE(Guitar, Vocal)】

<Guitar>
Line 6 Variax 700+Caparisonネック・カスタム仕様

<Effectors>
Roland GR-55 (Guitar Synthesizer)
Radial PRO D2 (DI)
※アンプは使用せずライン出力。

<Others>
SHURE SM-58 (Microphone) ※会場機材

 


 

石川俊介(Bass)】

<Bass>
Fender Jazz Bass ’66(写真右)
Fender Jazz Bass ’77(写真左)

<Amplifiers>
Ampeg PF-350 (Head Amp) ※写真上段
Ampeg SVT-810E (Cabinet Amp) ※会場機材

<Effectors>
Fodera 2010 (Preamp)

 


 

カワタコージ(Vocal)】

SHURE SM-58 (Microphone) ※会場機材

 


 

デーモン閣下(Vocal)】

SHURE SM-58 (Microphone) ※会場機材

 


 

富田毅(Support Bass)】

<Bass>
F-bass BN5
Bacchus BEGINNING OF THE NEW TRADITION BPB-62

<Effectors>
MXR M80 bass d.i.+ (DI / Preamp)
Aguilar TONE HAMMER (Preamp)
EBS MultiComp (Compressor)
BOSS TU-2 (Tuner)
Guyatone AC-105 (Power Supply)

<Amplifiers>
Ampeg SVT-810E (Cabinet Amp) ※会場機材
Gallian Krueger 800RB (Head Amp) ※写真下段 / 会場機材

<Others>
SHURE SM-58 (Microphone) ※会場機材

Tags: , , , , , , , , ,

TOPへ戻る