WSRより”もっと”愛を込めて #66「三つ目ドリル」
さて、今回は「三つ目ドリル」のお話です。
ポットやSWの増設やブリッジの交換の際に
ボディーやピックガードに穴をあけるというのは
日常、数多く行っています。
しかし、対象物に対して垂直かつ正確に行うには
それなりな工具と正確な採寸が必要になってきます。
例えば、Tune-O-MaticやFloyd Roseのスタッド穴の場合、
2つの穴の位置が0.数ミリずれてしまったり、垂直が出ていないと
取り付けは出来ないですよね???
そこで登場するのが「三つ目ドリル」なんです。
通常の金工ドリルだと、こんな感じで刃の先端は尖っているわけではなく、
中心が大変分かりづらいです・・・。
ドリルの径が大きくなればなるほど、中心の位置は曖昧な感じになっていきます。
分かり易いように黒+白+黒+白の4プライのピックガードに
金工ドリルを使って穴をあけてみると・・・。
刃の中心から外側に向かって削れていきます・・・。
三つ目ドリルの場合は刃の中心と両端が鋭角に尖っています。
この刃は通常の金工ドリルをすばらしい技術を持った職人さんに
しっかりと刃の中心を出してもらって、両端の処理を行ってもらっています。
こちらの場合は、一度センターがピックガードに設置した後、
刃の両端から中心に向かってピックガードを削っていきます。
鋭角なセンターが最初に接地することによって、
採寸した正確な位置に目打ちで小さな印をつけてあげれば、
その位置に穴をあけることが可能になります。
また、対象物を刃の両端から内側に削っていく事によって、
ボディーの塗装などの割れや欠けを防いでくれます。
また、PUキャビティーからコントロールキャビティーの穴あけの際に使う
ロングビットでも三つ目ドリルは大変有効です。
通常のドリル刃だと、自力でどんどん材に潜って奥へと掘り進めてしまう性質があるので、
ハンドドリルにて、深さをコントロールするのは大変困難ですが、
三つ目ドリルの場合は人間の手で押した分しか掘れないので、
角度や深さのコントロールも自在になります。
こんな感じで今回は「三つ目ドリル」にスポットを当ててみました。
額田