WSRより”もっと”愛を込めて #72「フレット考察その9」

早いもので、今年も残すところあと1ヶ月となりました。
私としては多忙極まりなく、あっという間の一年となってしまいましたが、
みなさんにとってはどんな一年だったでしょうか???

さて、今回から数回に渡って「フレット考察」の続き
「Jim DunlopとJescar」のフレットについて書いていきたいと思います。

フレットの事に関しては2011年3月に書いたっきりなので、
約5年ぶりのコラムですね・・・。

今回取り上げる「Jim DunlopとJescar」は
輸入フレットの2大ブランドであることは皆さん周知の通りだと思います。

しかし、フレットの事に関しては出音やプレイヤビリティーに影響する
重要な部分であるにも関わらず、情報量が少ないと思うんです・・・。

何故かと言えば、PUやその他のギターパーツと違って、
交換が容易ではないので、比較対照するほどの経験をしていないと言うのが、
その理由ではないでしょうか?

恐らく、各メーカーの数多くの種類のフレットを扱って、
経験として最も多くの知識・情報を持っているのは
我々リペアマンだと思うので、リペアマンとしての視点から書いていきたいと思います。
(しかし、どうしても書けない内容もあるので、その辺はご了承下さい。)

しかしまずは、リペアマンでなくとも書く事が出来るカタログに記載されている
フレットサイズの話から初めいきましょう。

JDとJES比較SAISYUU

※Jim Dunlopで表記の無い材質は18%N/Sです。

上はJim DunlopとJescarのフレットをモデル別に並べたものです。
タングの太さ・長さは無視して、クラウンの幅と高さのみで比較してみました。

同じ色の括りは数値として0.1mm以下の近似値を持つものです。

こうやって見ると、なかなか面白いことが解かりますね・・・。

Jim Dunlopといえば、#6100のジャンボフレットで有名ですが、
現在販売されているFenderのVintageフレットが幅2.10x高さ1.00(実測値)という事を考えると、
それに近いモデルをクラウンの微妙なサイズの違いや材質違いタング幅違いで10機種もラインナップしているという、
Fenderのフレットサイズにかなり特化しているのが良くわかります。
Jescarだとこの辺のラインナップは#43080と#37080の2機種になります。

よく、ミディアムジャンボのフレットを・・・といわれることが多いのですが、
高さで言うと、Fenderの1.00mmとジャンボフレット1.40mmの中間あたりの1.2mm付近
幅で言うと2.10mmと2.79mmの中間付近である2.50mm付近のラインナップが
Jim Dunlopではごっそり抜けてしまって、高さがあまり変わらないまま、極端に太くなってしまうんですよね。
Jescarだとかなり選べるのですが・・・。
実際の感覚として、幅の0.1mmはあまり感じないかもしれませんが、
高さの0.1mmは違いがわかると思いますよ。

あと、面白いのはフレットの材質ですね。
Jim Dunlopだと12%N/Sのモデルがあるんですよね。
通常の18%N/Sのモデルよりも柔らかくて応力が少ないので、指板Rの小さなネックにもR加工がしやすいです。
不用意にハンマーで叩いてしまうと、形状が変わってしまうくらいです。
また、Jescarだと殆どのモデルにステンレスのモデルが用意されているのと、EVOという、
銅、錫、鉄、チタンの合金のモデルが存在するので、気に入ったモデルの形状をそのままに
他の材質で楽しむことが出来ちゃいます。

とざっとクラウンのサイズを書いてみましたが、今回はあくまでも高さと幅の数字のみですからね。
幅と高さの数字が同じでも、実際には形状が違ってきます・・・。
そんな話は次回にまた・・・。

額田