WSRより”もっと”愛を込めて #77「フレット考察その12」
WSRより”もっと”愛を込めて #77「フレット考察その12」
さて、先月はちょっと脱線してしまいましたが、
今月はJim DunlopとJescarのフレット考察の続きで、
Jim Dunlop #6100とJescar #57110についていきたいと思います。
先月の最後にタングとスタッド部分のについてはちょっと書きましたので、
今回は割愛させて頂きます。
Jim Dunlop #6100といえば・・・
過去に一世風靡したジャンボフレットの代名詞ですね。
幅2.79mm高さ1.4mmとJim Dunlopのフレットでは
2番目に大きなフレットになります。
後発メーカーのJescarでもJim Dunlopとほぼ同サイズの
ランナップが揃えられているので(もっと#72参照)、
幅2.79mm高さ1.45mmの高さこそ0.05mm違いますが、
ほぼ同サイズに相当するのが#57110になります。
サイズがほぼ同じなので、
ほぼ同じ物なのかというと・・・。
全く違うものというのが比べてみると良くわかります。
上の写真は右が#6100で左が#57110です。
見た目に#6100の方が何となくぼってりしていますよね???
素材としても、少しくすんでいるような感じですね。
別の角度から見ても・・・。
今度は左が#6100で右が#57110です。
写真では良くわかりませんが、
素材の配合比の違いでしょうか?
Jim Dunlopの方が若干黄色っぽく見えます。
Jescarは研磨して、バフなどはかけていませんが、
仕上がったかのごとく綺麗で鏡面のようです・・・。
実際にはフレットを打った後に
すり合わせ→研磨→バフといった工程を経るので、
この時点の綺麗さはあまり関係ないんですけどね・・・。
形状の違いは横から見ると一目瞭然です。
こちらは#6100です。
ワイデストポイントは指板と接地するクラウンの底面ではなく、
フレットの中間付近にあるんですよね。
頂点の部分は点というよりは面に近いほど平らに近いです。
これはすり合わせをすると良くわかります。
高さはあるのですが、かまぼこの様な形をしていますね。
ぼってりとした印象はこの辺からくるのでしょうか。
こちらは#57110。
ワイデストポイントはほぼクラウンの底面にあり、
頂点に向かうに従って、徐々に幅が狭くなっていっています。
円を半分に切ったような綺麗な形をしているのが良くわかりますね。
頂点は、ほぼ点ですね。
タングを切って、オーバーバインディング風にしてみると・・・。
こちらは#6100で、
こちらは#57110です。
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サイズは同じでも結構な形の違いがよくわかりますよね?
今までに#6100と#57110あわせて100本以上のギターに
打ち込んできましたが、どちらが良いか?というのは言えないですね・・・。
音色感的には素材の違いからでしょうか?形状の違いからでしょうか?
#57110の方がよりブライトでシャープな印象を受けます。
プレイヤビリティーとしては個人差や好みが相当ありますよね。
私個人としては・・・。
#6100の方がグリッサンド方向には滑らかな様な気がしますが、
#57110の方がベンディング方向には滑らかな様な気がします。
高さは同じでも山の立ち方が立っているので、
#57110の方がフレットの高さを感じるかもしれませんね。
幅は逆に扁平した形状なので、#6100の方が感じるかもしれません。
次回は#6105と#55090を比較してみます。
ではでは。
額田