WSRより”もっと”愛を込めて 第19回 「フレット考察その4」

さて、今回は「Quarter-round Fret File」を使ったボールエッジ処理のやり方を解説していきたいと思います。

通常のフレットファイルはフレットのクラウンの形を整えるという意味で半円形をしていますが、
「Quarter-round Fret File」では文字通り、円を1/4にカットした形をしています。(写真1)

1_8 (写真1)半円形に対して、1/4。底面の広さに注目!

この1/4の円形と比較的広めなファイルの底面が肝で、
狭すぎると指板を傷つけてしまいますし、広すぎるとハイフレットの処理がしにくくなるんですよね・・・。

①フレットサイドを可能な限り立てて研磨する

前回のコラムで申し上げたとおり、目的は限りある指板面を有効に使って押弦できる範囲を広く取って弦落ちを防ぐことにあるので、
指板サイド面と同じ角度でカットして目立てヤスリとペーパーで研磨していきます。(写真2)

2_2 (写真2)かなり立てたフレットサイド

このときには通常の処理の時と同様に、フレット切断面のTの字をしっかりと出してあげると仕上がりが綺麗になります。(写真3)

3_3 (写真3)タング・フレットの底面で綺麗なTを・・・。

ちなみに10数年前はここから通常のファイルだけで処理をしようとしていたんですが、
なかなか上手く行かなかったんですよね・・・(苦笑)。

②「Quarter-round Fret File」でサイド処理をする

単にボールエッジ処理と言っても、フレットの大きさや形状・好みによって適している形は様々になりますが、
今回は通常、私たちが行っている「フェイス(面)を残した処理」と
「完全な球体」の2パターンについて説明していきたいと思います。
両者共に、このファイルの底面を指板面と指板サイドのエッジに当てて、フレットサイドをを処理していきます。

「フェイス(面)を残した処理」

こちらの場合はフレットに対して大体45度ぐらいの角度を保ってFileをまっすぐ数回往復させて処理していきます。(写真4)

4_2 (写真4)こんな感じでファイルを当てます。

ただし、22フレットのギターならば22本のフレットを1弦側・6弦側の左右で88箇所同じ分量だけ削らなくてはいけません。
削る量の目安としては同じ力で動かしているのであれば、往復の回数=削れる量ということになるので、
88箇所同じ回数往復させれば良いということになります。
また、このときに残ったフレットサイドがフェイス(面)になりますが、幅の広いフレットに関しては
なるべくフェイスが小さくなるまで削ってあげるとグリッサンドしたときの違和感がないような気がします。(写真5)

5_2 (写真5)右と左のフェイスの大きさ分かります?

「半球体」

完全に丸く処理するというのはかなり前衛的な感じがしますが、
前項のフェイスを小さくするという意味では究極の形状ということになります。
フレットサイドの底面は上から見て半円形になるまで、弧を描くように削っていきます。(写真6)
こちらの場合は、単純にFileを往復させればよいというわけではなく、
自らファイルを動かして半円形を作り出さなくてはならないので、それなりなテクニックが必要になってきます。

6_2 (写真6)半球体の場合はこんな感じに・・・。

③通常のフレットファイルで整形する

「Quarter-round Fret File」で整形できるのはあくまでも、フレットの底面に近い所のみなので、
クラウン(フレットの山)自体の整形は通常のフレットファイルで行います。
フレットの左右を「フェイス(面)を残した処理」の場合は尖った部分を丸めるというイメージで、
「完全な球体」の場合は「球」を作るというイメージで整形していきます。(写真7)
このフレットファイルの整形は最終的なフレットサイドの形を決定する工程なので、
慎重かつ丁寧な作業が要求されます。

7_2 (写真7)フレットファイルで処理できるのはここまで。

④仕上げ

ここまでの工程ではかなり番目の粗いヤスリで加工しているので、
最終的にペーパーをかけて、バフで仕上げれば作業が完了になります。(写真8)

8_2 (写真8)完成!左は「半球体」。右は「フェイスを残した処理」。

・・・といった感じがボールエッジ処理の工程ですが、いかがだったでしょうか?

次回も「フレット考察」は続きます・・・。