WSRより”もっと”愛を込めて 第24回「ポット考察その1」

楽器に使われるパーツ類は普通に楽器屋さんで手に入るものなので、実際に購入されて配線にチャレンジされる方も多いと思います。
その使い方や構造の理解を深めることよって、皆さんでもある程度のトラブルに対応できるようになると思いますし、
既存のものではないアイデアが生まれるかもしれませんね。
・・・ということは10数年前の「WSRより愛をこめて」で書いているので、「過去の焼き直しか?」と思われるかもしれませんが、
内容の方は”もっと”詳しい内容にしていきますので、ご安心を・・・。

まずはエレキギターなら付いていないものはないと思われる「ポット」について数ヶ月間、話をしていきますが、
今月は「ポットの構造」について解説していきます。

P1200865_2 シャーシの爪を外すと簡単に分解できます。

写真は一般的に使われているCTS社製のポットを分解したものです。
いったん完成された国産のポットはここまで分解は出来ないのですが、
アメリカの工業製品は良い意味で非常に単純かつ合理的に出来ていて、
ポットのパーツ一つ一つも交換できるような設計になっています。

では、それぞれの部位を説明していきますが、
あくまでも今回分解したポット以外では当てはならない場合もありますので、ご容赦下さい。

【ナット・ワッシャー・菊ワッシャー】
ナット・・・ポット本体をボディー・PGに固定するもの。六角の角が食い込まないように上面・底面ともにテーパーがかかっています。

ワッシャー・・・ナットの下に敷きボディー・PGをナットの食い込み・傷から守るためのもの。
Fenderのギターには何故か付いていないですね・・・。

菊ワッシャー・・・ポット本体と固定するものにギザギザの部分が食い込んで、
ポット本体が不用意に動かないようにするためのものです。
場合によっては、数枚重ねてスペーサーとして使われます。

P1200868_2 左から、ナット・ワッシャー・菊ワッシャー

【スリーブ】
過去は真鍮製のスリーブを金属のプレートにかしめてあるものが多く使われていましたが、
ナットの締め付けや衝撃による変形が生じやすく、シャフトがスムーズに動かなくなるというトラブルがまれにありました・・・。
近年生産されている多くの物は、スリーブとシャーシを固定するためのプレートがダイキャストによる一体整形のものとなり、
変形にも大変強い造りになっています。

P1200869_2 左がダイキャストによる一体整形、右が従来のもの。

【シャーシ】
抵抗体を保護するためのものです。実際の配線に至ってはこの部分にグランドを取るため、
ハンダが乗りやすいように加工がなされており、
アメリカの工業製品ならば、この部分に製造社名・製造年・製造週が分かるように刻印が入っています。

上部に入っている凹みはシャフトに取り付けられているディスクプレートの突起とぶつかることによって、
約300度の回転角度を保っています。

また、裏側には粘度の高いグリスが塗布されており、トルクを高めています。
逆にトルクを落としたい場合はこのグリスを拭き取り、粘度の低い潤滑材を使ってあげると良い結果を生みます。

P1200875 裏と表から。裏側にはグリスが・・・。表には刻印。

【抵抗体・摺動電極・端子】
通常楽器に使われるほぼ全ての抵抗体は炭素皮膜で出来ており、
黒い円状の抵抗体は1番と3番の端子を絶縁体であるプレートにかしめることで固定されています。
1番と3番の端子は実際に配線する部分になるわけですが、炭素皮膜との接地・固定という役割も担っているので、
何かしらの原因で端子の付近の絶縁体が破損し、端子と炭素皮膜の密着が弱くなってしまうと音が出なくなってしまう場合があります。
ちなみに、この1番~3番端子の抵抗がそのポットの持つ抵抗値ということになります。

抵抗体の内側にある円形のものとそれから伸びる端子が摺動電極と2番端子になります。
こちらも2番端子によって絶縁プレートに固定されています。

P1200881 右側の黒いものが、抵抗体で右の1番端子と左の3番端子によって、かしめられています。中央の円形のものが摺動電極と2番端子。

【シャフト・摺動子・ディスクプレート】
摺動子はディスクプレートに取り付けられ、抵抗体と摺動電極に接地しており、
シャフトの回転角を変えることによって(まわしていくことによって)、1番~2番・2番~3番間の抵抗値を変化させる働きをします。

シャフトに関しては材質・長さ・形状に多種多様なものがあり、取り付ける楽器の構造・ノブの種類によって向き不向きがあるので、
チョイスには注意が必要になってきます。

P1200873 真鍮製の摺動子。抵抗体と摺動電極に接地。

P1200871_2 シャフト・摺動子・ディスクプレート。横からみると、こんな感じ。

・・・という感じで解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?

次回は「ポット考察その2」です。