特別対談|川崎哲平×上ちゃん(マキシマム ザ ホルモン)【IKEBEベースの日】

2020年11月11日

スタジオミュージシャン/バンドマンと、全く異なるシーンでトップを走るお二人、川崎哲平さんと上ちゃん(マキシマム ザ ホルモン)。普段の活動では接点が無いながらも、同じ歳、同じSadowskyプレイヤーと実は近い環境にもありました。数年前からお互いを意識していたというお二人が、イケベの紹介により遂に邂逅。ここでしか実現しなかったであろう「スタジオミュージシャン×バンドマン」の頂上対談です。

司会:立﨑隆宏(グランディベース東京)/2020年10月収録
 
 
 



 
― 本日はよろしくお願いいたします!
 

川崎哲平(以下、哲平)上ちゃん:よろしくお願いします!
 

― 今回他の対談二組にもお聞きしているんですが、イケベの企画ということで、当店(GRANDEY BASS TOKYO)やイケベとの出会いや関わりからお話し頂こうかと思います。
 

上ちゃん:もう15年前くらいですかね?
 

― さっき調べたら2005年の「巌流島ツアー」でELLEGARDENとツーマンがあって、そこで以前から常連様かつ友達だった高田君に紹介してもらったのが最初かと。
 

上ちゃん:その2年後くらいにセミナーやらせてもらったんですよね。(※2007年3月25日開催)
 

哲平:それはどこで?
 

上ちゃん:秋葉原のライブハウス、グッドマンですね。
 

哲平:あ、どこかでその情報見たことあるかも。
 

― 当時まだ僕は秋葉原勤務で(現在は渋谷GRANDEY BASS TOKYO勤務)、そもそもBass Station REVOLE秋葉原が出来る前だったんですよ。
 

上ちゃん:当時はそういうセミナーとか苦手だったんですよ。ライブ以外で人前に出るのが。でも当時立崎さんが声掛けてくれたんで、「やってみるか・・・!」と。一人じゃ寂しいんで、ドラマーの弟に一緒に出てもらって。
 

哲平:一人で弾くのって辛いですよね、ベースって。
 

― リズム隊でやると俄然楽しいですよね、やる方も見る方も。その時覚えてるのが、上ちゃんから「弟の上ちゃんです」って紹介されて 笑
 

哲平:そりゃそうだ 笑
 

― だから15年前から公私共々お世話になってます!
 

哲平:上ちゃんって80年生まれ?
 

上ちゃん:そう、一緒ですよ。あ、そうだ、誕生日おめでとうございます!(※取材日は哲平さん誕生日翌日の10月17日)
 

― おめでとうございます!FLEAと同じ誕生日!
 

哲平:そう!それ大事!笑
 

上ちゃん:それめっちゃ覚えてて、昨日一人でFLEAの誕生日お祝いしてて 笑、「あ、哲平さん誕生日だ」って思い出しました。
 

哲平:嬉しいなぁ~。FLEAと大山のぶ代さんと一緒なんですよ。誇らしい!
 

― 凄い 笑
 

上ちゃん:凄く羨ましいですよ。僕は東京ディズニーランドが出来た日と一緒です。
 

一同笑
 

上ちゃん:いや特に思い入れはないんですけど。僕サン◯オ派なんで。
 

一同笑
 

― 哲平さんも出会いを調べてみたんですよ。2012年に店内セミナーやってもらったのが最初でした。
 

哲平:地下の頃?まだ8年なんですね~。もっと前かと思ってました。(※GRANDEY BASS TOKYO名義になる前はGRANDEY & Jungle地下1Fの店舗の一部)
 

― 閉店後に狭い店内で無理やりやってましたね 笑
 

哲平:もうお客さんめっちゃ近くて。凄いプレッシャーでしたね~。
 

― 当時よくそういうイベントをやって頂いた効果があって、現店舗に移る時に、店内にイベントスペースを作ろうってことになったんですよ。
 

哲平:そのイベントの時に初めましてでしたっけ?
 

─ オカダインターナショナル(当時のSadowsky輸入代理店)の営業担当から「凄いセッションプレイヤーがいるので紹介します」と。
 

哲平:当日初対面でしたっけ?
 

― いや、そのイベントの事前打ち合わせとかで「初めまして」だった気が。それで当日音出してもらったら、もうぐうの音も出ないんですよ。凄くて。
 

一同笑
 

― もうこの人に弾いてもらったら何も言葉はいらないんじゃない?みたいな。その時以来、イベントや新製品、それこそベースの日関連とか、事あるごとに色々ウチのわがままを聞いてもらってます。
 

哲平:年一くらいで何かしらやってますよね。そっか~、もう10年くらい経ってるかと思ってました。
 

― 哲平さん&上ちゃんは40歳、僕は42歳っていう、ほぼ30代を過ごしたこの10年っていうのは非常に濃かったんじゃないですかね。
 

哲平:濃いですよね~。
 

上ちゃん:いや、でももういつが何だかわからなくなってますけどね 笑。毎年フェスとか出てると「あれ?あの時って何年だっけ?」ってわからなくなったり。
 

― わかる 笑。そんな感じでお二人とも非常にお世話になってます!お二人のことは、どちらからともなくお互い話に出てきていて。二人ともSadowskyを使っていたり、同じ歳だったりで。
 

哲平:僕はもちろん前から知っていたし、何かで同じ歳だって情報も見ていたので。
 

上ちゃん:立崎さんにずっと紹介したいって言われてたんですよ。
 

― で、今年の当店の新年会(常連様や友人と開催しているプレイベートな親睦会)で初めてご紹介できたと・・・。もうだいぶ昔に感じますね。
 

上ちゃん:え?あれ今年でしたっけ?
 

― 今年今年。2月の頭くらいかなぁ。
 

哲平:コロナがニュースになってきたくらい。海外は流行ってて大変そうだねーとか話してましたよね。
 

上ちゃん:あの日はかなり勇気を出して行きましたよ。
 

― 上ちゃんがああいう場(そこそこ大人数の会)にいるっていうのはかなり珍しいんですよ。
 

哲平:若手ベーシストが喜んでましたよね~。
 

― だってこの15年の付き合いの中で、いわゆる「飲み会」っいうのに一緒にいたの初めてですもん 笑
 

上ちゃん:そうですね、ご飯は一緒に行ったりするけど。大人数が苦手で・・・。
 

哲平:まぁわかるな~。あんまり多いとね。
 

上ちゃん:でも行って良かったですよ。濃ゆい出会いがあったので。サスフォー(Suspended 4th)のむう君もそこで会えたし、哲平さんにもお会い出来たから。
 

― 我ながらあの会はウチの店っぽいなって思っていて。哲平さんのようないわゆるセッションマンもいつつ、オルタナシーンのバンドマンや、メジャーシーンの若手バンドマンまで、幅の広さがGRANDEY BASS TOKYOのイメージそのままかなと。まぁ完全に友達会ですけど 笑
 

哲平:来年とか、コロナ対策しつつ、また出来るようになるといいですね。
 

上ちゃん:リズム隊って集まりたがりますよね。ドラム会もあるみたいだし。
 

― という感じで、前から会いたがっていた、紹介したかったお二人が繋がったということで、それを発展させて共通項が多いお二人に対談をお願いしよう!というのが今日の企画です。
 

上ちゃん:あれ、ここから始まる感じ?
 

― そう、長い前振り 笑。年齢が同じっていうことは、聞いてきた音楽やシーンも近いのではないかと。先ほども話題に出ましたが、Red Hot Chili Peppers(以下レッチリ)とか。
 

上ちゃん:その新年会の時もレッチリの話はしましたね。
 

哲平:世代的にみんな好きでしたしね。
 

― 同世代の友達と音楽の話になると「レッチリの何枚目が好き?」って話題になりますよね。
 

上ちゃん:あぁ~。『One Hot Minute』はちょっと・・・みたいな話になったり 笑
 

哲平:でも難しいですよね、どのアルバムが一番好きかっていうのは。上ちゃんどれが良いって言ったんでしたっけ?
 

― じゃあ改めて聞いてみましょう。
 

上ちゃん:やっぱ『Blood Sugar Sex Magik』が好きなんですけど・・・『One Hot Minute』の洗練されてるというか、ミクスチャー感というか、それも好きなんですよね。
 

― あー、でも分かりますよ。僕も初めてリアルタイムで買ったのは『One Hot Minute』だったんで。
 

上ちゃん:その二つがワンツーかなぁ。
 

哲平:『Blood Sugar Sex Magik』が91年、『Mother’s Milk』が89年だから、世代的にリアルタイムではなくて、ちょっと遡る感じですかね。最初に聞いたのは『Blood Sugar Sex Magik』で、16~17くらいの頃でした。
 

上ちゃん:僕も同じ歳、高校生くらいの頃ですね。「Give It Away」のMV、全身銀色でぶっ飛んでるやつをスタジオで見て。「なんだこれは?」と。
 

 

― その頃って洋楽だとGreen Dayも流行ってましたよね?
 

哲平:僕が高校の頃にドカーンといったのはOasisですね。
 

上ちゃん:Radioheadとか・・・。あとBon Joviが流行ってましたね。
 

哲平:めっちゃ聞いてました!
 

― そういう幅広く良質なバンドが多くいた中で、まだその頃のレッチリって日本ではいわゆる「音楽通」が好んで聞いていたバンドだと思うんですね。ファンキーな感じとかが、楽器プレイヤーに響く部分なのかと。その頃ってもう楽器弾いてました?
 

哲平:その頃はギター弾いてました。それこそBon Joviとか、定番のDeep Purpleとか、ハードロック的なのを弾いてましたね。
 

上ちゃん:僕はその辺通ってなくて。最初は・・・、僕エレクトーンやってたんですよ。
 

― あ、聞いたことある。
 

上ちゃん:ジブリの曲とか弾いてました。
 

一同笑
 

上ちゃん:ドラクエの曲とかエレクトーンアレンジで弾いてて。中学生くらいまではエレクトーンの先生目指してて、ちゃんとグレード試験受けたりしてました。ベース弾き始めたのは高3くらいです。最初はギターちょっとだけやってて。
 

哲平:あ、一緒だ。
 

上ちゃん:その頃はLUNA SEAが流行ってて、J-ROCK的なヴィジュアル系にハマって、その後にレッチリを見てベースに入った感じですね。「こんなに目立つベースがあるんだ」みたいな。
 

哲平:僕はギターやってたから最初はそこまでベースに注目してなかったんですけど、そう言われればあそこまで主張が強いベースって中々いないなと。ベースで目立つっていうと、いわゆるジャズとかフュージョンだったり、Mr.BIGのBilly Sheehanみたいなテクニカルなアプローチになっちゃうじゃないですか。そうじゃないスタイルで、ポップな部分もあるし、ファンキーさもあって「ベースかっこいいな」ってなりましたね。今考えると、あまりいないスタイルでしたよね。
 

― ファンク寄りの部分をロックにうまくミックスしたのが新しかったんですね。
 

上ちゃん:音楽的っていうより、僕にとってはFLEA、レッチリっていう存在そのものがかっこよくて感じて。音がかっこいいとかじゃなくて、イメージに憧れて、それで「ベースやりたい」ってなりました。
 

― なるほど~。
 

上ちゃん:それでどんどん刺青入れたり、変な方向に行きましたね。
 

一同笑
 

上ちゃん:曲のコピーより、まず見た目から 笑。同じStingRay(当時のFLEA愛用ベース)買ったり。
 

― 初めて会った頃ってModulusのFLEAモデル使ってたましたよね?
 

上ちゃん:最初はStingRayで、その後ライブでもずっとModulus使ってましたね、青ラメでlanepoorピックアップ付いてるやつ。
 

哲平:青ラメ!ああぁ~!
 


 

上ちゃん:StingRayは手元に残ってないけど、あの青ラメだけは譲れなくてずっと持ってます。
 

― さっき話に出たエレクトーンって、鍵盤だけじゃなくて、足でベースも入ったり、リズムも走らせたり出来て、ポップな感じに一人で多重に音を奏でられますよね。僕の姉も学生時代習ってたんですが、課題曲にゲーム音楽が結構あって。偶然かもしれませんが、上ちゃんゲーム音楽好きだし、哲平さんは今ゲーム音楽結構弾かれてますよね?
 

哲平:そうですね。マリオオデッセイとか。
 

上ちゃん:びっくりしたんですよ。めっちゃやってたんで。ゲーム大好きで。
 

哲平:結構ゲームの曲は弾いてますね。
 

上ちゃん:しかもアニメも好きで。声優さんの曲も結構弾かれてますよね?
 

哲平:レコーディングで弾いてますね。
 

上ちゃん:無意識のうちに哲平さんが弾いてるベースいっぱい聴いてる 笑
 

― 哲平さんのことを、社内の他の部署とかの人に説明するときに「日本人で哲平さんのベースの音聞いたことない人は多分いない」って話すんですよ。本当に幅広いから。
 

上ちゃん:アイマスとかも・・・。
 

哲平:アイマス、ラブライブとか弾いてます。
 

上ちゃん:僕、水瀬いのりさんの大ファンなんですよ、ファンクラブ入ってますから。ファンクラブイベントとか行ってますよ。
 

哲平:まじっすか!めっちゃ目立つじゃないですか 笑
 

上ちゃん:いや全然。
 

― 普段気配消してるからね 笑
 

上ちゃん:毎日CD聞いてますよ。てことは毎日哲平さんの音聞いてますね 笑
 

― 世代的な部分通り越しましたね 笑
 

上ちゃん:そうやっていろんなジャンルで演奏してるっていうのは凄いですよね。僕にはできない部分なんで。
 
 
 
 
 

「実はブランド自体にこだわりがあるわけじゃなくて、菊地さん(Sadowskyチーフルシア)って人自体との相性が良かったんです。(上ちゃん)」



 
― 二人の大きな共通点として、使用楽器=Sadowskyっていうのが挙げられるかと。そこに関して少し掘り下げたいと思います。哲平さんがSadowskyを使い始めたきっかけって、実は聞いたことが無かったので、聞かせて頂けますか?
 

哲平:使い始めたのは、イケベでイベントやるちょっと前、2010年くらいかと思います。赤い4弦、アッシュボディ/メイプル指板の。それが最初かな。それまでは4弦はFender Custom ShopのJazz Bass(以下ジャズベ)、5弦はFoderaでしたね。
 

上ちゃん:Foderaだったんですね。
 

哲平:2005年に東京出てきたんですけど、その時にその5弦Foderaと、ATELIER ZのJINOモデルを持ってきたんですよ。でもFender無いと仕事的に厳しいぞってことになり、Custom Shopのジャズベを東京で買ったんです。人生初Fenderで、メインでがっつり使ってて、音は良かったんですが、ネックが不安定で。
 

― ああ、その頃ネックのトラブル多かったかも。
 

哲平:トラスロッド調整で締め込んで行ったら、締め切っちゃって。一旦ロッド抜いて調整したりして、良くはなったんですが、その時期にSadowskyを使うようになり、Fenderから離れていった感じでしたね。
 

― 増崎(孝司)さんのご紹介で?
 

哲平:そうですね。2009年くらいからDIMENSIONのサポートに入って、最初はFenderでやってたんですけど、ハードなインストに入ると負けちゃうんですよ、音が。で、悩んでたら増崎さんが「Sadowsky紹介してあげるよ」と工房に連れていってくれて、そこからの使い始めました。もちろんWill Leeも大好きだったし、自分のプレイとも相性が良くて、Sadowskyって憧れのブランドだったので「喜んで!」という感じでしたね、スタートは。
 

― 上ちゃんはいつでしたっけ?
 

上ちゃん:最初はさっき話したセミナーの時ですね。終演後に菊地さん(Sadowsky TYO チーフルシアー 菊地嘉幸)を紹介してもらって。
 

― あれ?その時僕が紹介した・・・?完全に忘れてた 笑
 

上ちゃん:確か菊地さんの娘さんが当時中学生とかで、ホルモンのファンで・・・。一緒に見に来てくれたんです。
 

― ああ~、そうだった!
 

上ちゃん::「使ってみませんか?」と声掛けてもらったんですが、その時は僕はModulus大好きだったんで、その時はそのまま話は流れて。
 

― その後確かニエ君(当時のテック担当)と一緒に、3人でSadowskyのスピーカーキャビネット(当時はアンプヘッド:SA200と同時に販売。現在は廃番)を試しに、オカダインターナショナル(Sadowsky工房併設の輸入代理店)に行ったんですよね。そこで改めて菊地さんに挨拶しつつ、「一本作ってもらえばいいじゃん?」とか軽く言ってたんですよ。
 

上ちゃん:Sadowskyってすごく上手い、弾ける人が使うベースってイメージがあって。上質な感じというか。
 

哲平:NYサウンド的な。
 

上ちゃん:それで僕には合わないなと思ってたんです。
 

― 日本ではまだスタジオミュージシャン用みたいなイメージありましたからね。
 

上ちゃん:で、当時バンドの曲がドロップCとかダウンチューニングの重たい系の曲がどんどん増えてきて、Modulusをメインとは別にもう一本持ってたんで、それでなんとか対応してたんですけど、まぁ(音が前に)出なくて・・・。それで悩んでた時期だったんですよ。それで一本、ローチューニング用に作ってもらったんです。
 

 

― 僕が当時聞いたのは、「ローチューニング用のが欲しい」と上ちゃんが言ったのを聞いて、菊地さんが凄く頑張って三日間くらいで仕上げて持っていったらしいんですよ。ちょうどツアー直前で、何日後かにゲネプロ(本番直前の通りリハーサル)っていう時期で。
 

上ちゃん:そうそう。既存のベースを改造セットアップしてくれて。
 

― ステンレスフレットや、ダウンチューニング用のネック/ブリッジセットアップとか。あと防水!!
 

哲平:防水!?
 

上ちゃん:ライブハウスで汗が凄くて、水溜りが出来るような過酷な環境でライブやってるので 笑、直接汗が内部に入らないようにコントロール部分に加工してもらって・・・。で、弾いてみたら凄く音が前に出て。想像以上の音の暴れ感があって、ロックな感じだったんです。「イメージで決めつけてすいませんでした・・・!」ってなって。
 

一同笑
 

哲平:ちなみにどのモデルがベーシックになってたんですか?その改造の。
 

上ちゃん:普通のディンキー、RV4ですね。お任せでやってもらったので、細かい仕様はわからないんですが。ちゃんと一からオーダーしたのは、その後のレギュラーチューニング用の真っ黒のやつですね。
 

― そうだ、Sadowskyはローチューニング用しか無かったから、レギュラーチューニングはModulusって分けてましたね(DVD『Deco Vs Deco~デコ対デコ~』にはこの組み合わせで収録)
 

上ちゃん:今はその2本を半々くらいで使い分けてます。レギュラー用(黒)と、ローチューニング用(赤)はDチューナーをつけてドロップDとドロップCで使い分けたりしてます。
 

哲平:ドロップチューニングってポジションが混乱しますよね。一音下げって弦のテンションがベロンベロンになりません?
 

― しかも弦のゲージ普通なんですよ。
 

上ちゃん:そうですね、普通の45~105です。
 

哲平:未知の世界だ・・・。
 

― 弾かせてもらったことあるんですけど、普通に弾くと全然弾けないです 笑
 

上ちゃん:あの独特の弦のテンション感も含めて好きなんです。
 

― ローチューニングって、単純な音程だけの問題じゃなくて、弦のテンションの緩さからくる、ある意味「気持ち悪い」鳴り方自体が特徴でもあるのかなと。ドゥーンってくる感じの。
 

上ちゃん:確かに。
 

― Sadowskyっていうブランドにとって、上ちゃんが使い出したことはターニングポイントだったのかなと思うんです。さっき話した2回目に菊地さんに会った時、工房で上ちゃんが「僕にはまだ早いかなぁ」って謙遜してたんですけど、それを聞いた菊地さんが「いや、違うんです。僕はいろんなジャンルの方に弾いてもらいたいから、もっと上ちゃんのようなロック系の方にこそガンガン使って欲しいんです」って仰ってて。実はあの方、凄くロックな人じゃないですか、サンダーバード超低く持ってハードロック弾く、みたいな。
 

哲平:メタラーですからね 笑
 

― その頃、日本でもロック系のベーシストが少しずつ使い始めてきた頃で。海外だと前からいるじゃないですか、結構ハードロック系の人も。
 

哲平:Jason Newsted(ex-Metallica)とか。
 

― 日本でもだんだんそういう状況になってきた時に、一気に雰囲気を変えるきっかけになったかなと。上ちゃんが使い始めたことが。店でも聞かれること増えましたからね、「上ちゃんが使ってるSadowsky」って。
 

上ちゃん:実はブランド自体にこだわりがあるわけじゃなくて、菊地さんって人自体との相性が良かったんですよね。何でも相談乗ってくれて。2本目の黒いベースも、当時ネックの裏まで黒く塗ってあるSadowskyって無かったんですけど、特別に塗ってもらって。
 

― 当時はオプションにもなくて、あのモデル以降オーダー受けられるようになりましたね。
 

上ちゃん:とにかく真っ黒にしたかったのと、裏までしっかり塗装して湿度変化に強くする為に塗ってもらったんです。
 

― よく菊地さんと一緒にホルモンのライブに行くんですが、ライブ中に急にいなくなるんですよ。戻ってきてからどこ行ってたか聞くと「音の聴こえ方チェックするために、会場のいろんなところで聴いてた」って言うんです。
 

上ちゃん:立崎さんもそうなんですけど、ライブに来てちゃんと聴いてくれる、そういうところが長く付き合える理由かなと思います。
 

― やっぱり菊地さんっていう存在は大きいですね。
 

哲平上ちゃん:大きいですね。
 

上ちゃん:しょっちゅう一緒に蕎麦食べながら打ち合わせしてましたね 笑
 

哲平:で、使い始めたのも2005年?
 

― 2007年ですね。最初の一本を使い始めたのが。
 

上ちゃん:そんな経つんですね・・・。確かにな、ボロボロになってるしな。メンテナンス、自分であんまり出来ないんです。だからいつも哲平さんのYouTube見て勉強してます。チャンネル登録して。
 

一同笑
 

上ちゃん:質疑応答のやつ、自分もお酒飲みながらダラダラ見るのが好きなんです。
 

哲平:見てるんですか 笑
 

― 哲平さんのチャンネル登録者の中に、相当な割合でプロミュージシャンいると思いますよ。ウチの常連さんたち、みんな見てるって言いますもん。
 

上ちゃん:見よう見まねでネックのチェックとかしてます 笑。細かいとこ凄く勉強になります。
 

― あれは凄く勉強になりますね。二人のSadowskyの使い方って、ある意味正反対だなと思っていて。哲平さんはいろんな現場で、様々な音色やスタイルに即対応出来る即戦力としての使い方。上ちゃんは、ホルモンのライブ用に研ぎ澄まされた専用ギアというか。
 

哲平:楽器自体の安定感がある上に、調整のしやすさ、例えばネック調整もネックを外さずにすぐに行えたりするので、天候の変化で環境が変わりやすい長期間のツアーでも、ある程度自分で調整が出来るので安心して任せることが出来ますよね。やっぱり頼りになります。
 

― 哲平さんはあまりスタッフに機材を触らせないんですよね。
 

哲平:弦交換から調整は自分でやります。
 

上ちゃん:動画から、もう楽器愛が凄く伝わってきて・・・。「今日のこの子(ベース)は弦高◯mmで」とか、我が子のような感じで扱ってますよね。
 

哲平:体調管理は重要です 笑
 

― とは言ってもいわゆる「楽器オタク」ではないんですよね。ベースに対してもフラットな考え方を持っている方なので、普段一緒にベースの話をしていても非常に楽というか。Sadowsky唯一の日本人シグネイチャーとして「Teppei Model」というモデルがあるんですが、その原型として「川崎哲平プロデュースモデル」っていうのを、イケベとコラボで限定で作らせて頂いたんですよ。それを若干仕様変更して市販化したのが「Teppei Model」で。
 


※2019年7月26日撮影
 

哲平:初代ですね。ラッカー塗装の。
 

― 販売用に5~6本作って頂いたんですが、わずか数日で完売したんです。もう音が良すぎて、あの時のウチのスタッフの盛り上がり方は凄かったですね。「超良い!」って皆で上がってて。
 

哲平:ラッカー塗装で手間が掛かるから、初代はあまり本数作れなかったんですね。
 

― 売り上げって面でももちろん嬉しいんですが、何よりも一緒に良いものが出来た!っていう達成感がスタッフ内にも凄くあって・・・。実際は横から意見言っただけなんですが 笑。個人的に楽器屋経験の中でも凄く思い出深いモデルです。
 

哲平:僕の持っているヴィンテージのネックをプロファイルしたり、細かな点で菊地さんがわがままを聞いてくれたのが大きかったですね。ネックのグリップは一から作ってくれたんですよ。
 

上ちゃん:僕も2本目のレギュラーチューニング用(黒)を作るときには、Modulusを参考にしてくれて。Modulusはピックアップがラージハムバッカーなので、SadowskyのJBタイプだと弾き心地に違和感があるんです。指でピッキングした後に、ピックアップに当たる(指が止まる)感じがないと弾きづらくて。
 

哲平:ああ、JBだとポールピースで指を止めるような感じだ。
 

上ちゃん:そうです。その対策としてダミーピックアップ的なもの(いわゆるフィンガーランプ)を作ってくれたんですよ。その時に、Modulusの弦とピックアップの間が何mmとかのデータを細かく測ってくれて。それを正確に再現してくれたんです。
 

哲平:おぉ~。
 

― 確か二種類くらい作ってテストしたんですよね。
 

上ちゃん:そう、微妙なサイズ違いの二種類から選んで。ピックガードの材質を加工して専用で作ってくれたんです。なので弾き心地も違和感なく移ることが出来ました。
 

哲平:それを再現してくれる菊地さんはやっぱりキーマンですね。職人。
 

― ちょうど話に出たので、レギュラー用の黒を作った時のお話を聞かせて頂けますか?
 

上ちゃん:ローチューニング用(赤)を使って「良いです!(誤解してて)すいませんでした!」となって 笑。そうなると、レギュラー用として使っていたModulusとの音の差が大きく感じてきて、「もうちょっとローがあって、抜けの良い音にしたいな」と思って相談しました。さっき話したみたいに、今まで弾いてきたModulusの良い部分を出しつつ、更に進化させて・・・という感じで。
 

― 他に上ちゃんから伝えた希望はどんなスペックだったんですか?
 

上ちゃん:一本目と同じく防水と、あとコントロールをヴォリュームのみにして、残りは裏パネルの中に入れて下さいと伝えました。ライブ中暴れるんで、ツマミがあると触っちゃうんですよ。そんな変な注文も全部聞いてくれて。
 

哲平:ピックアップとかプリアンプは全部ノーマル?
 

上ちゃん:そうです。その辺は標準仕様のままで。
 

― あと指板がエボニーですね。硬い材なのでガチガチの音がすると思われがちですけど、実はバコッとしたパンチの効いたサウンドになるんですよ。上ちゃんの音はそれが非常にわかりやすいなと思います。
 

哲平:菊地さんもそれは凄く言ってましたね。僕が5弦ベースの音抜けを良くしたいって話をした時も、エボニー指板をお勧めされました。パンチとアタックを兼ね備えてると。菊地さんも好きな音色みたいですよ。
 

― お二人のライブ現場にお邪魔すると、広いホールやライブハウスだったとしても、ベースの音が凄く抜けて出てきますよね。もちろんそれはお二人のスキルがある前提なんですが。特にホルモンの外音は、日本のロックシーンでもトップクラスだといつも感じていて。いわゆるラウドなロックサウンドって、どうしてもベースの音が散ったり沈んだりしてしまうことが多いと思うんですが、ホルモンはローエンド、それこそさっきのCチューニングの音の輪郭までしっかり聞き取れるんですね。お二人はジャンルもサウンドも全く別ではありつつも、聞こえづらい音の細部まで聞こえてくるっていう点では共通点があるのかなと。
 

上ちゃん:そこは凄く楽器に助けられてますね。
 

― 日本のロックシーンにSadowskyが定着したのは、やっぱりその頃上ちゃんが使い始めたっていうのが大きかったと思います。同様に、既に定番化しつつも、更に若手セッションミュージシャンに浸透していったのは哲平さんの影響が大きいなと感じますね。
 

哲平:年齢が近いっていうのがあるかもしれませんね。僕は20代後半くらいからスタジオミュージシャンの仕事を本格的にやり始めて、その少し下の世代から一気にSadowskyユーザーが増えた気がするんですよ。
 

― ライフスタイルとして、昔はミュージシャンの理想として「バンドマンでブレイク!」というイメージが強かったかと思うんですが、最近は「セッションミュージシャンとして色々な現場でプレイするのを生業としたい」という若手が増えてきたように感じます。
 

哲平:SNSの影響もあるかもしれないですね。僕より上の世代の方々は、そこ(SNS)とは距離を置いている方もいらっしゃる反面、僕らは元から当たり前のように使っていたので、情報を目にする機会が増えたのかなと。以前はCDのクレジット(演奏メンバー、スタッフ等のリスト)でしか確認出来ない、調べても情報があまり無いという方も多くて、本当にマニアなファンが追いかけているような状況もあったかと思うんです。僕は自分から情報発信するのも好きなので、そういう面で下の世代の人たちは身近に感じた(=憧れた)のかもしれないですね。
 

― それとは反対に、上ちゃんはバンドマンからのリスペクトが物凄いわけですよ。あの新年会で分かる通り 笑
 

哲平:凄かったですよね。若手が皆喜んでて。
 

上ちゃん:端っこで飲んでただけなんですが 笑
 

― さっきのサウンド面も同様ですが、ジャンル、シーンは違えど、同じように若手ベーシストからリスペクトを集めている存在だっていうのが面白いですよね。
 

上ちゃん:セッションミュージシャン的な活動にも興味はあるんですけどね。他の場所でも弾いてみたいなとか。と言いつつ、そこで出来る自信はないですね 笑
 

哲平:そんな事ないですよ~。
 

上ちゃん:バンドマンって演奏面のテクニックだけじゃなくて、ライブパフォーマンスとかルックスだったりとかで自分をブーストしてる部分があって、そうじゃないと自分を出し切れないというか・・・。音だけをスタジオで認められるっていうのは、自信が無いですね。
 

哲平:逆に、ライブパフォーマンスでは僕らは絶対敵わないと思うんですよ。例えばフェスに出た時に、僕らはサポートとして演奏して、その先にアーティストがいて、そのオーラはやっぱり凄いんです。ある時、ステージの袖でMr.Childrenを見たことがあって、演奏的に凄く難しいことをしている訳では無いんだけど、でもステージ上のエネルギーが凄く、「ミスチルってこんなかっこいいんだ!」って改めて思ったんですよ。バンドのエネルギーって本当に凄くて、それを他にもたくさん近くで見てきて。もちろん僕ら(セッションミュージシャン)にしか出来ないことっていうのもあるとは思うんですけど、ショーとしての音楽を考えると、エネルギーが凄くて、「これはたくさんの人を魅了する訳だ」って強く思いますね。
 

― 対象的なようで実は根本が同じだなって感じる部分もあって、単純な言葉で言えば「上手い」っていう事なんですけど。いわゆる演奏面の上手さ、例えば速く弾けるとかテクニカルな事が得意だとか、もちろんそこも一つの要素として重要なんですが、そこだけではない根底の部分というか。
 

哲平:あぁ。
 

― ホルモンはライブが本当に上手いんですよ。
 

上ちゃん:上手くないですよ 笑
 

― ってメンバーは言うんですけど 笑、僕の言う「上手い」は演奏スキルだけではなくて「バンド力の凄さ」なんです。簡単な言い方をすれば「グルーヴが合っている、音が良い」っていう事なんですけど。ただタイトだとか、クリックに合ってるとかだけではなくて、例えばテンポを下げる、タメるのであれば、バンド全体がためる。ハシってるんじゃなくて、全体でスピードを上げてる。それが重さや勢い、音の説得力として「バンド力」になってるのかと。正直ちょっとね、他とはレベルが違うんですよ・・・。
 

哲平:是非見に行きたいですね。圧倒されそうだな。
 

― もうちょっとシャレにならないレベルで。よく社内で言うんですけど「俺がバンドマンだったら絶対対バンしたくない、勝てるわけない」って。
 

哲平:映像で見てるだけでもエネルギーが凄いですもんね。
 

上ちゃん:お客さんのエネルギーっていうのも大きいと思いますね。相乗効果が生まれて。
 

― 上ちゃんはテクニカルなフレーズも入れたりするけど、バンド全体として強烈にテクニカルっていう訳ではない。片や哲平さんは、いわゆる「上手い」、つまりテクニカルな部分のイメージでも捉えられてるかと思うんです。でも、僕が思う哲平さんの本当に上手い部分って、ドンって一発音を出した時のその説得力、つまり音の良さなんです。そう考えると、ホルモン、哲平さん双方の「上手さ」って実は同じ部分に感じるんです。弾き方も含めた「音の出し方」というか。
 

上ちゃん:それって、多分立崎さんは一番分かると思うんですけど、試奏してる時が一番分かりますよね。ライブってパフォーマンスも込みだけど、身近で生で弾いてるタッチの感じとかを見ると「鳴らせてるな、あんまり鳴らせてないか」とか分かりますよね。力の入れ具合とか、指の圧というか。
 

― わかります。そういう話、前に哲平さんともしましたよね。指の圧、体重の乗せ方とか。
 

哲平:そうですね。あと指のスピードかな。上ちゃんはきっとローアクション(弦高が低いセッティング)だと思うんですけど、僕は割と高めの設定で、真逆なんですよ、セッティング面では。そのローアクションで、しっかりとしたロー(低音)の鳴りが出せるっていうのは凄いテクニックだなと思うんです。僕はどちらかと言うと「力でねじ伏せる」みたいなタイプなので、そういう技術はないというか。ローアクションだとパスパス言っちゃって上手く鳴らせないんです。
 

上ちゃん:え、弦高高いんですか?
 

哲平:結構高い方だと思います。日本のSadowsky標準設定より少し高くて、NYCの設定と同じくらい(※国内流通分は日本向けに若干低めの弦高設定でセットアップ)
 

上ちゃん:Marcus Millerのカバー動画とか見てると、結構低めの設定なのかなと思ってました。
 

 

哲平:その高めの設定のぶっ叩くというか、ねじ伏せるのが好きなんです。この辺は音の出し方のスタイルですよね。自分の言葉では上手く説明出来ないというか、第三者に見てもらってジャッジしてもらった方が、自分がどういうスタイルなのか分かるのかなと。
 

― 先ほど上ちゃんが話してくれた「鳴らせてる/鳴らせてない」っていうのは凄く分かりやすい言い方だなと思います。エフェクターやプリアンプで膨らましても、鳴ってない音は太くはならないですよね。それらは元々太い音をより太くする(もしくは変化させる)為のものだから。
 

哲平:出てない周波数はどうイコライジングしても出てこないんですよ。PAエンジニアにもよく言われます。「いや、そもそもそこ(の周波数)出てないから」って。「まず自分の手で出しましょう」と。
 

― それもやっぱりさっきと同じ、全然違う設定、サウンドでもしっかり太い音を出せているっていう部分で、お二人は同じ、共通点だなって感じます。
 
 
 
 
 

「色んな人と演奏するっていう事自体が好き。(川崎哲平)」



 
― 僕はお二人と長く付き合ってきた中で、実は性格も含めて似てるなって思ってたんです。簡単に言えば「ストイック」じゃないですか、二人とも。ここも方向性は違うんですが。上ちゃんハマり性ですよね?
 

上ちゃん:そうですね~。でも哲平さんも釣りとかやってますよね?
 

哲平:ガッツリやってます。でも僕もハマり性ですよ。逆に興味ある事以外は割と適当だったりします。
 

上ちゃん:あ、一緒ですね。部屋とかめちゃ汚いです 笑
 

哲平:僕、部屋は綺麗にするんです 笑
 

上ちゃん:僕ねー、苦手なんです。機材とか溢れてて。
 

一同笑
 

哲平:僕、掃除大好きなんです。楽器を日々磨いたりするのも好きで、あれも掃除の一環みたいなものですね。
 

― 哲平さんのエフェクトボード、めっちゃ綺麗ですよね。
 

哲平:ジャンクフードとか食べないんですよ。コーヒーは好きなんですけど、缶コーヒーは飲まないし。
 

上ちゃん:それは健康面で?
 

哲平:昔は全然食べてたんですけど、10年前くらいからそういうの断つようにしてて。たまに食べると体が重くなって、調子悪くなっちゃうんです。それで「コレはもうダメだ」となって以来、ほぼ口にしてないですね。
 

上ちゃん:・・・僕ジャンクフード大好き 笑。マックとか。
 

哲平:それでも戦える身体を持ってるって事ですよ!
 

― 上ちゃんのストイックさは趣味に対してのハマり具合ですかね。けん玉とか。
 

上ちゃん:趣味は多いですね~。けん玉も。ベースも実はその延長なのかもしれないですね。
 

― 上ちゃんは、同じベースでも「バンドのベース」と「自分の趣味のベース」っていうのを分けて考えてたりしますよね。
 

 
上ちゃん:バンドでやるのはホルモンが良いんですけど、リスナーとしてはMarcus MillerやVictor Wootenが好きで、以前Foderaも持ってたりしたんです。自分がやってるバンドに拘らず、ベースとして色んなジャンルが好きなので。ゲーム音楽もベース音が好きで聴いてたりするんですよ。そういうところから、プレイのヒントを得たりもして。新曲にちょっとゲームの音入れたりして。
 

哲平:そう考えると、割と多趣味なんですね。
 

上ちゃん:意外とそれがバンドに繋がる時もあるんです。
 

― ホルモンは元から多様性のかたまりみたいな部分もありますよね。
 

上ちゃん:使えるものは使う!ってスタンスです。
 

一同笑
 

― 方向性は違えど、その趣味に対する深さみたいなのが近いのかなと。
 

上ちゃん:ベーシストはそういう人が多いのかもしれないですね。
 

哲平:ベースを選ぶって時点で、そういうディープな視点を持っている人が多いのかも。
 

― バンドマン、セッションマンとして、姿勢が違う部分があってそこが面白いなと思った事があるので、その辺をお聞きしようかと。哲平さんに以前セミナーの時に話して頂いたんですが、「色々な現場で色々な人と演奏する、セッションベーシストという仕事に就きたかった」と伺ってましたよね。
 

哲平:色んな人の音を聞くのが好きなんです、単純に。絶対みんな音が違うから。自分が高みに上っていければ、周りも凄く高いレベルの人と合わせる事が出来る。そこでは良い音が出ていて、それを聞くのが楽しいんです。良いトーンを出せる人が残っていて、それによって自分も高められる、それが原点じゃないですかね。良い音が鳴ってないと、その音楽にも魅力を感じないので、それが身近で聴ける環境にあるっていうのが楽しいですね。特にドラマーとの関係性は面白くて、同じクリック(メトロノーム)聴いて演奏しても、合わせる人によって全然違うグルーブになるんです。そこにどう自分のベースを合わせていくかっていうのが、チャレンジになっていて面白いですね。色んな人と演奏するっていう事自体が好きなのかなと。
 

― 多分上ちゃんも同じこと考えた事があるかと思うんですが、僕はロックシーン、バンドを聴いて育ってきたので、「仕事」としてベースを弾くっていうのが、ちょっと冷めた視点で見てしまうというか「お仕事で弾いてます」みたいなのが出てると嫌だなと思ってた事があるんです。哲平さんや常連様、友人のセッションベーシストの方達と仲良くさせて頂く中で、今は全く思っていないんですが。でも、哲平さんの演奏や、音楽/楽器への取り組みを見ていると、全然違くて。一音一音の演奏、一本一本のライブに対しての考え方や取り組み方が物凄く真剣なんです。もう刃のような鋭さで。
 

哲平:昔はそういう風に良くも悪くも「仕事」として演奏していた時代もあったんだと思いますね。
 

― 例えばワンテイクでOKですっていうのが、適当にワンテイクだけ録る、ではもちろん無くて、そのワンテイクに全て注ぎ込んだ上で一回で終わらせる!みたいな姿勢が、むしろロックだなと。
 

上ちゃん:ワンテイクとか絶対無理だな・・・。
 

哲平:構築して作る良さっていうもの絶対ありますよね。
 

― そういう取り組み方の違うバンドマンに対してのリスペクトも凄くありますよね、凄いセッションミュージシャンの方達は。ホルモンはまた別のベクトルで本気で。さっきの「音の良さ」とかバンドに対しての姿勢が。
 

上ちゃん:そもそも「楽器、演奏が上手くなりたい」っていうより「ああいう風にライブがしたい!」っていう、バンドの存在自体を理想としてる感じなんですよ。だから、色んな人と合わせてみたいって思ったのも、つい最近ですね。「もっとちゃんと勉強した方がいいのかな?」とか。
 

一同笑
 

上ちゃん:他の人と一緒にやってみたいって気持ちもあるけど、あんまり手の内を見せたくないなっていう気持ちもあって・・・。
 

― 例えばFLEAって、レッチリ以外でも色々弾いてて、他のバンド(Atoms For Peace)もやってるじゃないですか。レッチリとは全然違う、ある意味地味なプレイをしつつもしっかり存在感は示してて。でもやっぱり「レッチリのFLEA」っていう期待されてるイメージに対して、バンドではしっかり応えるという。もし上ちゃんが他の活動するとしたら、そのタイプになるのかなって気がしてます。どういうプレイをしても、「ホルモンの上ちゃん」っていう芯のイメージはしっかりと残るというか。
 

哲平:バンドっていう軸が一本あるっていうのはいいなぁと思います。
 

上ちゃん:セッションマンの方が、軸がしっかりあるから色々と呼ばれるって気がしますよ。
 

哲平:そこは結局無い物ねだりなんですけどね 笑
 

― ホルモンって、バンド活動を良い意味で「遊んでいる」というか、本気で楽しもう、自分たちを貫こうという姿勢を強く感じますよね。もちろんその「遊び」っていうのは軽い意味じゃなくて、自分たちがやりたい事を貫く為にただの「仕事」にはしないっていうことで、「気楽に遊んでま~す」みたいなのとは正反対ですよね。
 

哲平:本気の遊びってやつですよね。
 

上ちゃん:それは僕個人っていうより、バンドのスタンスですね。
 

― 哲平さんの「仕事としてベースを弾く」っていうのと、上ちゃんの「バンドを本気で遊ぶ」っていうのは、言葉としては逆になるんですが、実際の意味合いは一緒なのかなと。
 

哲平:僕ももちろん仕事ではあるんですけど、あまりそう捉えてはいない部分もあって。結局「楽しいよ!」っていうのを一言目に言えるじゃないですか、音楽やってると。人によっては「音楽の仕事なんて大変でしょう?」とか言われたりすることもあるんです。特に今の状況(コロナ禍)だと。でも、僕はあまり大変だとは思ってなくて「今やれることをやろう」って思ってるし、演奏する機会は減っているけど、その分一回一回がグッとくるというか。一回原点に戻ってやれることをやって楽しもうと思ってます。
 

― 今話に出ましたが、コロナ禍で音楽業界が大変な状況で。ホルモンみたいに、ライブハウスを主戦場にしているバンドは特に。
 

哲平:時間が出来た分、自分主導でやる機会をたくさんもらったっていうのはありますね。YouTubeやオンラインレッスンとか、今後も続けて行きたいと思ってます。やっぱり、ベースヒーローっていうものに自分も憧れてミュージシャンになったので、その位置に自分も近付けるように活動したいなと。沢山仕事(演奏)をしてても名前が残らない人もいるけど、僕はしっかり自分の名前を残したいなって思っているんです。それで「楽しかったなぁ、人生」と終われればいいなと。
 

― 早い早い 笑
 

哲平:今年40歳になって、二十歳くらいから音楽で稼ぐようになったので、そう考えると20年やってきたんですよ。あと20年やったら60歳じゃないですか。もうそこからはマイペースな活動したいなと思っているので、バキバキに弾くこと考えるとちょうど折り返し地点だなって考えも少しあるんですよ。
 

― 僕は前からもっと哲平さんのリーダーセッションだったり、個人名義の活動や演奏があればいいなと思っていたので、最近の活動はワクワクしてますよ。
 

哲平:最近個人名義の曲も作り始めてるんですよ。友達のミュージシャンに手伝ってもらいつつ作っていて。
 

― おお!本当に!?いいですね~!
 

哲平:意外と出来るなと思って。盤を作るとなると大変ですけど、最近は配信リリースとかやりやすくなっているので、音源も徐々に視野に入ってきました。
 

― 良い話聞けちゃいましたね!上ちゃんはコロナ禍で活動はどうですか?相変わらず、ずっとスタジオ入ってはいるんですよね?
 

上ちゃん:そうっすね。ナヲさんと個人練入って、終わった後一緒に飯食いに行って・・・。相変わらずな感じでやってます。
 

― ホルモンの好きなところの一つなんですけど、「リハ」って言わないんですよ、「練習」って言う 笑。「リハ」はいわゆるゲネプロのことですよね。これ、凄い好きなんですよ。若手バンドマンとかとよく話しますもん、「練習」って言いなよと 笑
 

上ちゃん:練習ばっかりしてるから、僕もそろそろゲーム配信でもしようかなー。
 

一同笑
 

上ちゃん:バンドマンでフォートナイトやってる人結構いるんですよ。そこで繋がる人もいたりして。
 

哲平:みんなでチーム組んで?笑
 

上ちゃん:そう 笑。あと子どもに教えてもらってますよ。でも、意外と音楽系の配信をフォートナイトでやってる人とかもいて。ライブとか新曲発表とか。
 

― 米津玄師さんもやってましたよね。
 

上ちゃん:Travis Scottもかなり大掛かりなのやってて、ゲーム全体がMVになるみたいな。知らないジャンル聞いたりとか、意外と発見がありましたね。
 

哲平:そういうところからもインスピレーション受けたりとか。
 

上ちゃん:せっかくだから僕も配信しようかな・・・笑
 

― ライブは無くても、活動を休止している時でも、バンドとしての動きを止めるってことが無いですよね。ホルモンって。それがさっき話したバンドの一体感っていうところに繋がっているんだと思いますよ。哲平さんも似ている面があって、最近アップしているYouTubeも、この状況で焦ってやり始めたって感じは全く無くて、普通の活動の延長として良い意味で淡々とやってる感じがしてて。先程も出ていた「今できることをやる」っていう姿勢がブレてないなと感じます。そういう積み上げが、コロナ収束後・・・以前と同じような状況に戻るかはわかりませんが、きっとその時に大きな成果として出てくるのかなと。
 
 
 
 
 

「『ホルモンのこの曲聴いて楽器始めました!』とか言ってもらえると、やっててよかったな~って思います。(上ちゃん)」



 
― お二人のファン、というよりフォロワーと呼べる存在が、一般レベルじゃなくてもうプロとして活動している若手にも沢山出てきているなと思います。そんなフォロワーに対しての思いを聞かせて下さい。
 

上ちゃん:・・・みんな上手すぎですよ。やめてくれって。
 

一同笑
 

上ちゃん:早い内に若い芽を摘んどくかな・・・。フォートナイトで。
 

一同爆笑
 

上ちゃん:いや、嬉しいですよ。ウチらの音楽を聴いてバンドを始めたって人たちと、直接話が出来るっていうのは。ライブでは、そういう直接的なフォロワーの人たちってわからないですからね。対バンだったり、紹介だったりで、「ホルモンのこの曲聴いて楽器始めました!」とか言ってもらえるのって嬉しいです。やっててよかったな~って思います。
 

― そうですね~!
 

上ちゃん:でもちょっと「やめてくれ」とも思います。
 

一同笑
 

― でも、そうやって一緒に話が出来るってことは、その人が頑張ってそこまで登ってきたってことでしょう?ただ高校生が「ファンなんです!」って言ってくれるのももちろん嬉しいだろうけど、そのファンが同じ目線まで登ってきてくれたってことはまた違う喜びがありますよね。
 

哲平:「好きです」とか「レッスン受けたいです」っていうのはここ最近凄く言われるし、嬉しいんですけど、その都度「僕が追いかけてきたルーツを聴いてみて」って言ってるんです。僕が目指した人たちは皆レジェンドな人たちで、まずそこを聴いてみれば僕が何か好きで影響を受けてきたのかっていうのを分かってもらえると思うんです。だから「ルーツを聴いて」と。
 

― 自分の好きなミュージシャンのおすすめ盤とか、ルーツの遡って聴く事による発見って、絶対得るもの大きいですよね。なかなか難しいかなとは思うんですが、例えば先程話に出ていた哲平さんのソロ作が出る時とかに、上ちゃんがゲスト参加するとか、共演があったら面白いかなと・・・。対バンは多分無いからなー。
 

一同笑
 

哲平:フェスとかなら、同じ日とかあるかもしれないですけどね。
 

― 去年、ベースの日当日にセッションライブ的なイベントを開催したんですよ。来年以降、またチャンスがあれば開催したいと思っているので、そういう場でセッション出来たりすると楽しいだろうなと思うんですが、いかがでしょう?
 


 
哲平:もう是非是非!
 

上ちゃん:・・・・・。一緒にゲームはしたいです。
 

一同笑
 

上ちゃん:一緒にマリオオデッセイやりましょう!
 

哲平:まずはゲームで共演から 笑
 

上ちゃん:いやぁ、中々セッションとか飛び込む勇気がなくて・・・。音楽的には絶対楽しいとは思うんですけどね。色んな人と色んな場所でやるのって。
 

― 「上原太」って名前出さないで、小さなライブバーとかで完全なフリーセッションとか。
 

上ちゃん:ただ遊ぶって感じのはやりたいですね。名前出すと恥ずかしいから 笑
 

― いつかチャンスがあれば是非!
 


 

上ちゃん:釣り系の動画もっと見たいです。
 

一同笑
 

哲平:釣りガチ勢怖いんですよ、本当にガチで 笑
 

上ちゃん:ベースのガチ動画が続いた後に、釣り動画が来ると和むんですよ。
 

哲平:釣りの時は、真剣になりすぎて、動画回してる事忘れたりするんですよ 笑
 

上ちゃん:大自然の風景に癒されてます。
 

― 哲平さんからはどうですか?
 

哲平:さっきの話と同じですけど、色んな場所で弾いてる上ちゃんも見てみたいですね。
 

上ちゃん:まず人見知り直すところからかな・・・。
 

一同笑
 

― 性格改造しつつ、機会があればまた今回のような対談でも、セッションでも是非ご一緒しましょう!の前に、とりあえずコロナ落ち着いたら一緒に食事行きましょうか 笑。本日はありがとうございました!
 

哲平上ちゃん:ありがとうございました!
 


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