リプレイスメントパーツのススメ!第24回「ロック式ペグ 」

みなさんこんにちは

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今回はロック式ペグについてのコラムです。
その名の通り弦をペグ側でロックしてくれるペグで、
弦交換の容易さ等のメリットから、
昨今では標準搭載されている楽器も多く、
お持ちの楽器にすで付いている方や店頭等で見たことのある方も
少なくないと思います。

今回は通常のペグからそのロック式ペグへと交換する事で
どういった変化があるのかという事を中心にご紹介したいと思います。

最初に、現在主流のロックペグの方式を簡単にでは
ありますが説明したいと思います。

①ペグ背面(上面の物もあり)についたネジを締め込む事で弦をロックするタイプ
②巻き上げることで自動で弦をロックしてくれるタイプ
市場に出回っている物は上記の二種類が殆どだと思います。

①の方式はSperzelが最も有名だと思いますが、
FenderやSchaller、Grover等様々なブランドが
この方式を採用したペグをラインナップしています。

ペグ背面のネジを締め込む事でせり上がっていくシャフトと
ペグポスト上部で弦を挟み込んで固定されます。

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Sperzel TrimLock

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②はGotohのマグナムロックという特許構造で、
弦を通して巻き上げるだけでロックしてくれるという物です。

基本的には①と同様にシャフト部分とペグポスト上部で挟み込む事で
弦をロックしていますがこちらはシャフトをせり上げるのでなく、
弦を通してペグを巻き上げていくとペグポスト上部が自動的に
せり下がっていく事でシャフト側と弦を挟み込む構造により固定されます。

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ペグポスト上部がせり下がっていき固定されます

さて、通常のペグと比べてロック式ペグにした場合の
変化についての説明に入りたいと思います。

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弦はペグポストに巻けば巻くほど「たわみ」や「ねじれ」が生じやすく、
弦同士やペグポスト自体とが触れ合う面積が増えるため摩擦も増え
チューニングは安定しづらいという考えに基づくと、
ロックペグの場合は殆どペグポストに弦が巻きつけられない為に
そういった要因が最小限に抑えられている事になり、
チューニングの安定性が良くなる傾向にあります。

また、ナットからペグへの弦の角度が浅くなる為にナット部分でも不要な
摩擦が生じづらくこれもチューニングの安定性に影響しています。
それと同時にナット付近でのテンション感が柔らかくなる事で
押弦し易くなる傾向もあるので、柔らかいテンション感が好みの方は
演奏性の向上という点でも効果があります。

弦の交換の容易さは言うまでもありませんね。
簡単に弦が交換出来るのは時間を有効利用できるのはもちろんの事、
張替えに失敗して弦を無駄にしてしまった、なんて事が起こり辛いのも
弦交換に自信が無い方には有り難いですよね。

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チューニングの安定性を求めてロックペグへ交換する、
というのは理由として最も多いですが、注意点もあります。

ロック式ペグはチューニングの安定性関して確かに大きな効果はありますが、
チューニングが狂いやすい原因が他にある状態で交換しても効果が薄い事もあります。
チューニングの狂いの要因として最も多いのはペグでもブリッジでもなくナットです。
ナットの溝の形が崩れてきていたり、適正な幅や角度で溝が
切られていない場合はチューニングは非常に狂いやすいです。

また、通常のペグが付いている楽器の場合、ナットの弦溝は
一般的な弦の巻数(2~3巻き程度)で弦を張った角度の場合に、
ベストなナットへのテンションやコンディションが得られるような
幅・角度等で成形されています。

それをロックペグに交換した場合、ナット部分からペグへの弦の
角度が浅く変わる為、ナットに必要なテンションが掛からずに
開放弦でビリつきが生じたり弦がないてしまう可能性等があり、
状態によってはナットの交換が必要になる事もあります。

よって最も高い効果が得るとためには、
まずはナットを含めた現状の調整をしっかりとした状態にし、
さらに安定性を高めたいという場合等には交換するのが良いかと思います。

ちなみに、ロックペグが搭載されている楽器を使用している方で、
テンション感や操作性・サウンド等にあまり好みで無い点がある場合、
通常のペグと同じように弦を巻いて使用されている方も多くいらっしゃいます。

特に、ペグへの弦の巻数が殆ど無い状態でドロップチューニング等の
複数のチューニングを一本のギターで使用する場合、
低いチューニングにした際にテンション感が柔らかくなりすぎたり
サウンドの張りが失われてしまう事があります。
チューニングの安定性やサウンド等をチェックしながら、
自分にとってのベストな弦の巻き具合やセッティングを探すのも、
良い音を出す為に必要な努力の一つですね。

楽器は様々な部品・構造によって形作られ互いに影響しあっているため、
一ヶ所手を加えただけでもその部分だけでなく、
その他の部分にも良い悪いを抜きにして様々な変化があります。
その帳尻を合わせるのは難しい作業ではありますが、
私達リペアマンの腕の見せ所でもあり、楽しみでもあるのです。

大久保