WSRより”もっと”愛を込めて #64「フレットレス加工①」

みなさんこんにちは!!!
春の陽射しを浴びて、桜が満開!!!
良い季節になりました。いかがお過ごしでしょうか?

さて、今月と来月の2回に分けてフレットレス加工のお話をしていきたいと思います。

エレキベースの改造としては最も多い改造の一つではないでしょうか?
近年では「フィンガーランプ」の作成も増えてきましたが、
現在でも年間を通じて30~40本ほどのご依頼を頂いております。

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今回フレットレス加工にするのはIbanez BTB676という
ウォルナットトップ・アッシュバックのナチュラルな仕上げが美しい6弦ベースです。

では、作業の方を進めていきましょう。

まずはフレットが付いている通常の状態で、
チューニングを合わせてネックの状態を確認します。

ハイハネが無いか・指板のコンディション(過度なへこみが無いか)等・・・。

よく「ネックの状態がよくないからフレットレスに・・・」という
言葉を耳にしますが、これは間違いですね。

実際のところ、金属製のフレットのタングが入っていたところに
木製または樹脂製の付き板が入るわけですから、
当然、順反り方向に対してのネックの剛性は下がります。

よって、フレッテッドの状態で剛性があまりよくないものは
フレットレスにしてしまうと更に悪くなるという結果を生みます。

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上記の理由から、トラスロッド・ネックのチェックは念入りに行います。
弦をはずした状態でのネックの逆反り具合やロッドの利き幅など、
最終的にストレートなネックで仕上げることが出来るかをここで判断します。

今回のこのベースは順・逆両効きのロッドが2本。
強度的には申し分ないですね。

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ボルトオンネックのベースであれば、
ネックのさし角を変えてあげれば問題が無いのですが、
スルーネックのベースの場合は弦高の下げ幅に余裕があるのかどうかをチェックします。
フレットの大きさや現在の弦高にもよりますが、
大体2~3mm位下げることが出来れば良いと思います。

下げ幅に余裕が無い場合はブリッジを落とし込まなくてはなりません・・・。

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今回のベースはスルーネックなので、
加工の際に木屑や傷が付かないようにこんな感じでボディーを
クロスで覆ってあげると安全ですね。

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指板のすり合わせの妨げになるマシンヘッドとナットを外します。
ナットは再利用しますので、可能な限り傷をつけず、破損が無いように心がけます。

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加工したエンドニッパーを使ってフレットを抜いていきます。
必要に応じて、熱を加える場合もありますが、
今回はそのまま抜いていきます。

元々クラウンがあった部分の指板の欠けは
フレットレスの場合はそのまま見た目につながりますので、
万が一、欠けてしまった指板のかけらは上手く元の位置に合わせて、
瞬間接着剤で貼り付けます。
ローズ指板の場合はあまりそういったことはないんですけどね・・・。

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最近はセルバインディングは無くても、
こんな感じでタングを隠すように指板サイドに埋め木をしてある場合が多いので、

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のこぎりを使って、埋め木を除去します。
のこぎりに付いたガイドで1フレットから最終フレットまで、
同じ深さの溝が切れるようになっています。

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フレットを抜いたあとの指板はこんな風にフレットの食い込み跡があるので、
この跡が消えるまで指板をすり合わせます。

今回はメイプルの付き板を埋めますが、
付き板を埋めて接着を行った後にこの食い込み跡を消そうとすると、
なかなか消えてくれないんですよ・・・。

また、このすり合わせによって指板面の調整と指板のストレートを
出します。

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当然のことながら、トラスロッドでネックのストレートは確実に出してから

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すり合わせていきます。

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すり合わせが完了し、溝に詰まった木粉を前出ののこぎりで除去すると
指板はこんな感じです。

フレット溝付近の割れや欠けは無いですよね?

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メイプルの付き板を切り出していきます。
指板に埋める際には木目の方向を全フレット分、同じ方向にしてあげたいので、
向きが分かるようにマーキングをしてあげると良いですね。

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フレット溝が真っ直ぐな場合はこのまま適度な長さにカットして
挿入してあげればよいのですが、
指板のRと同じようにラウンドしている場合は一本一本、
底面をラウンド加工してあげなくてはなりません。

指板Rと同じRのジグを作ってあげるとスピーディーに事が進みますね。

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各フレットよりも少し長めに切ったつき板を
ぞれぞれのフレット溝に挿入していきます。

このときに全てのフレットで溝の奥まで確実に入っているかを確認。

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ここでやっと接着です。
金工用の粘度の低いものだと、木目に沿って染み込んでいってしまう場合があるのと、
付き板自体にも接着剤が染み込んでしまい、指板と付き板の強度が大きく異なってしまう場合があるので、
収縮チューブで先を細くした木工用ボンドを使用します。

接着の際にはなるべく指板に接着剤が付かないようにすると、
この後の作業がだいぶ楽になります。

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全てのフレット溝を接着して、数時間乾燥させます。

乾燥を待って、次回に続きます。