リプレイスメントパーツのススメ!第44回「クライオジェニック処理パーツ」

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みなさんこんにちは
今回ご紹介させて頂くのは、
様々なブランドよりラインナップされている、
クライオジェニック処理を施した
電気パーツについてです。

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クライオジェニック処理(クライオ処理)とは、
楽器・オーディオ業界内での意味合いとしては、
ブランドにより手法等の違いはありますが、
主に金属を一度超低温状態にする事で、
分子構造が整う作用を利用し、
素材としての強度や安定性を高めたり、
クリアな電通を得る事でサウンドへの
アプローチを行っているパーツです。
ポットやジャック、スイッチやコンデンサーからワイヤーまで、
近年では様々ないわゆる「楽器向け」なパーツの
クライオ処理された物が販売されています。

特に電気部のパーツにおいては、
他パーツとの組み合わせや搭載する個体・状態、
再生環境、演奏方法、主観・好み、etc.etc…と、
効果・感じ方へと影響する要素があまりにも多く、
同じパーツから全ての場合において画一的・絶対的で一定の変化を
得る事は難しいと私は考えていますが、
今回は私の主観や交換後のお客様の感想等も交え、
最近人気も高まっているクライオ処理パーツについて、
ご紹介させて頂こうと思います。

まず、私が交換時に多くの個体で最も感じる変化としては、
サウンドの明瞭感や輪郭といった部分が
はっきりと再生されるようになる事です。
いわゆるハイファイな方向へのサウンドの変化で、
悪い意味での歪み・濁りが少なく、
細かなタッチや表現がロス無く出力され易く感じます。
上記の変化はお客様でも同様の感想を挙げられている方が多く、
実際に変化量は大きいポイントだと思います。

次に、音色としての変化は前述の
ハイファイ・ロスレスな出力という事とも
ある意味では共通しますが、
ハイミッドからプレゼンスといった高い高域特性の
音色が際立ったように感じる事が多いです。
特にエレキギターにおいては電通が
不安定であったりすると、
高域が削られていく傾向が強いですが、
そういったロスが少なくなる事でハイが際立ち、
先ほどのサウンドが明瞭・クリアになる事と合わせて、
最終的に「抜ける音になった」という感想が
使用者の中で多いのだと思います。

また、数あるパーツの中でどの部分を
クライオ処理パーツに変えるのかという事ですが、
特定のピックアップや状態のみに影響のある部分だけを交換すると、
音色・質の違いからその状態だけ浮いてしまいがちな為、
明確な狙いがある場合を除いて、
全体に関わる部分であるジャック・マスターボリューム・スイッチ等を
交換するのが良いかと思います。
中でもマスターボリュームとスイッチは交換による変化も
体感し易いと思います。
特に、ぼやけた音像の楽器の出力をもう少し明確にしたい場合や、
PU交換まで行うといった根本的な音色の変化は与えないまでも、
高域の微細なニュアンスを際立たせたい場合等には
お勧め出来るパーツだと思います。

最後に、私個人としてはPUからジャックまで全てのパーツを
いきなりクライオ処理パーツへと交換する事は
あまりお勧めしておりません。
ロスレスであるという点だけを見ると良い事尽くしに感じますが、
そもそも楽器の音色はロス・減衰によって
形作られていると言っても過言ではありません。
今まで出ていなかった音域が前に出てくる事で、
うるさくなった、耳に痛い音なったと感じる場合もあります。
また、クライオ処理パーツに限った話ではありませんが、
アンサンブル内での役割や、他の楽器のサウンドによっては
バランスがとり辛くなる事もある為、
目的のサウンドに合わせて少しずつ効果を確認しながら
交換するのが良いと思います。
実際、以前実験的にピックアップからジャックまでの
各種電気パーツはもちろんの事、
ブリッジ・ペグ・フレット、果ては弦やPGビス等を含めた
全てのハードウェアへとクライオ処理を施した
ストラトキャスターを弾く機会がありましたが、
少なくとも私にとっては生音・アンプを通してのサウンド共に
あまりにも直線的で硬質な音色で耳に痛く、
音楽的なサウンドだとは感じられませんでした。

あくまで「良い音」とは個々の主観に基づく物であり、
尚且つアンサンブル内等では相対的な物です。
漠然と周りや提供サイドの主張する「良い音」を目指すのでは無く、
まずは目的の音色がどういった物なのかを
自身の中でイメージながら手を加えていく事が大切だと思います。
その「良い音探し」のお手伝いが出来るよう、
我々も日々精進して行き、共に音を楽しむ事が出来れば幸いです。

大久保