WSRより”もっと”愛を込めて 第23回「フレット考察その8」

長々と続けてまいりました「フレット考察」ですが、いよいよ今回が最終回です。

前回のコラムで少し触れたので、重複する内容になってしまう部分もありますが、
リフレットの際に「ハンマーで打ち込む」のか?「プレスする」のか?というのが今回のテーマです。

私が過去20年で行ってきたリフレットはデーターを見ると1500本以上になりますが、
前回のコラムで登場したJawsというフレットプレスを使い始めたのは約2年ほど前からになるので、
そのほとんどを「ハンマーで打ち込む」という方法で行ってきました。

ここ2年ほどは「ハンマー」と「プレス」を併用して作業をしているわけですが、
どちらの場合も一長一短ありで、両方の長所を上手く利用して作業を進めていくのが良いと今のところ感じています。

では、お互いにどのような長所・短所があるのか書いていくと・・・。

【ハンマー】

短所

・打ち込むフレットは指板RよりもRを小さくして、指板サイドから打ち込んでいく方法を取るので、
フレットが硬い・もしくは大きくて弾性が高いフレットは指板サイドではなく、指板の中央部でフレット浮きを生じさせることがある。
スタッドが小さくてフレット溝との引っ掛かりが弱いものに関しても同様。

・ハンマリングの際に指板を叩いてしまう可能性がある。また、あまりにも柔らかいフレットの場合はハンマー跡が残る。

・一本のネックに全てのフレットを打ち込むには結構な時間が掛かる。
また、比較的フラットな指板やRのきついものなど多種多様な指板・楽器に対するフレットの曲げ方や打ち方、
上記のトラブルを防ぐためにはそれなりな経験とテクニックが必要。

長所

・フレットを打ち込んでいる際の出音によって指板剥がれなどの情報を知ることが出来る。

・冶具が無くてもさまざまなRの指板に対応できる。

【プレス】

短所

・フレットを指板Rと同じRに曲げ、指板Rと同じRの冶具を使用してプレスしていくので、
フレットの弾性・スタッドの大小・指板材の硬さにあまり影響されずに作業できるが、
指板と冶具のRを厳密にあわせなくてはいけない。逆に言うと治具にないRのものはプレスできない。

・プレス機?をセットするために指板面とほぼ平行な部分が必要なので、ネックの差し角がついたセットネックギターの
ネックジョイント付近からブリッジ側にかけてのフレットをプレスするのは難しい。

長所

・プレスすることだけに限定して言えば、誰が行っても同じクオリティーで仕上げることが出来る。

・コツがつかめれば、「ハンマーで打ち込む」より半分以下の時間で仕上げることが出来る。

・・・といった感じです。

実際に「ハンマー」と「プレス」では作業の方法以外に個人的には出音の傾向が違うように聞こえるので、
その検証のため今回はKTS Musical Productsさんに依頼して、フレットの表面硬度を測っていただきました!!

硬度測定はメイプル材に「ハンマーで打ち込んだもの」と「プレス」したもの2本づつをビッカース(Hv)測定器にかけるというものです。

Photo_2 これが硬度測定機

計測方式は先端に四角錐のダイヤモンドが付いているものをフレットに押し付け(今回は10kgで)、
圧痕の対角線の長さより硬さを求めるというものです。

結果はすべてのフレットが210~215Hvという数値になり「同じ値」(多少の計測誤差もあるので)
といってもOKな誤差しかでませんでした。

硬度測定で違いは出なかったのですが、何か違う測定方法ではきっと違いはでるはず・・・。
きっといつか皆さんに報告が出来るに違った検証方法を模索していきたいと思います。

次回は「電気」関係の話をしてみましょうか・・・。