リプレイスメントパーツのススメ!第10回「ハムバッカーPU改造・実務編」

みなさんこんにちは
夏フェス真っ盛りのこの時期、心待ちにしている方はもちろんの事、
既にいくつか足を運んだ方も多いのではないでしょうか。
当店にご来店された折には、お土産話でも頂戴出来たら嬉しいですね。

さて今回からは私、大久保が今までとは少し趣向を変え、パーツそれ自体では無く
私たちが行っている「作業」についてもご紹介していきたいと思います。
今回の内容はリアPUをシングルコイルPUからフルサイズハムバッカーPUへの交換です。

シングルPUからハムバッカーPUへの交換作業の様に、ピックガードやボディ本体にもザグリ等の
比較的に大きな木工加工が必要な修理・改造の場合、実際にどういった作業が行われているか
知らない方々からすると、中々怖い改造に思えるかもしれません・・・。
かく言う私も楽器に限った話ではありませんが、何を行っているのかが直接見えない修理や改造というのは
ちょっと心配になってしまったりします。そんな不安を今回の記事で少しでも解消出来ればと思います。

前置きが長くなりましたが、作業紹介に入りたいと思います。

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今回の改造対象はムスタングです。軽やかで歯切れの良いサウンドが売りですが、
昨今の音楽事情もあってか、パワーのあるハムバッカーを搭載したい方も多いようですね。

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まずはピックガードの加工から・・・。作業時に支障の出るパーツを全て外し、そして適正な位置に
「テンプレート」というものを取り付けます。これはいわゆるサンプルで、後述の機械達を使い
このテンプレートの形に沿って、同じ形に加工する事が出来る優れものです。
・・・が、彼らはとても素直で良い子達なので歪みや傾きもそのまま同じように削ってくれます。
なのでこれを作る時は非常に神経を使います。腕の見せ所ですね。

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取り付けました。大まかに余分な部分をカットして、トリマーという機械を使い削っていきます。
当ブログの左上ににあります「FIGHTING ROOM」にても紹介してありますが、先ほどの
テンプレートに沿って同じ形に削る事が出来ます。

http://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/wsr/fr-main.html

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一気に削りすぎたり、逆に削り残しが無い様に気を付けて、と。
ウィンウィンウィーン・・・

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出来上がったPU穴から見えるのは、WSRのリーサルウェポン、佐藤君です。
近く本サイトでのスタッフプロフィールでもご紹介出来ると思いますので、よろしくお願いします!

次はいよいよボディのザグリ加工です。
先程と同様適正な位置にテンプレートを張ります。

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ちなみに、次に使うルーターという機械はテンプレートに対して2mm内側に削れる機械なので
ルーターを使う時用のテンプレートは削りたいサイズより2mm大きく作ってあります。

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掘る深さを設定し、後は心頭滅却・明鏡止水…少しずつ掘り落としていきます。
これも先程同様いきなり深く削ったりすると危険ですので、テンプレート通りに削れると言っても慎重に進めていきます。
ギュイーンガリガリガリ・・・

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普段ガード等で隠れているボディの内部を見ると、黒く塗られている部分がありますね。
これはドータイト、導電性の塗料です。これは電気パーツ周りを導電性の物で覆うノイズ対策ですね。
これについてもいずれ紹介出来ればと思います。木部と一緒に削り取った部分に塗り直して行きます。
ペタペタサッサッサ・・・

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ここまでくれば後は通常のピックアップ交換とさほど変わりません。
ピックアップの位相をチェックをし、正しく配線して行きます。また、ボリュームのポットも500kΩの物に交換しました。

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後は外したパーツ達を組み込んで、完成です!

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どうでしょうか・・・中々カッコいいでしょう?
サウンドの方はハムバッカーの音圧が得られたのはもちろん、ショートスケールとの組み合わせもあってか
軽やかさの入り交じった、他のハムバッカー搭載ギターとの差別化も計れる一本となった印象です。
今回はムスタングでの改造でしたが、PGマウントのPU交換でしたら取り付け位置の数値等の違いはあれど、
基本的には同じ様な行程で改造を行っています(ストラト等)。
この方法だと元のリアPUのビス穴が残ってしまうので、
お客様によってはお好みのピックガード材で丸ごと作成し直す方もいらっしゃいます。

いかがでしたでしょうか。簡単にではありますが実際に行われている作業を通して見た事で、
少しでも改造に対する抵抗感が解消されれば幸いです。
もし何か修理等をご依頼頂く際は、不明な点があればお気軽にお尋ねください。

・・・ところで、最初と最後でブリッジが変わっているのにお気づきでしょうか。
実はPU交換と並行してブリッジのTOM改造も行いました。ムスタングやジャズマスター、ジャガー等のブリッジの
不安定さに悩んでいる方は、検討してみる価値があると思います。
今回の改造ムスタングは、当池部楽器にて新品を改造した商品も販売しておりますので、よろしくお願いいたします。

http://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/ikebe-kc/index.htm

それでは、また来月に!