WSRより”もっと”愛をこめて #38「PUとその磁界」
さて、今回はPUと磁界のお話です。
例えばGibson LP3PUの場合、
PUセレクターは上から、FRONT/CENTER+REAR/REARとなっていますよね?
通常のLPを使い慣れている方なら、FRONTが妙に太く、REARが妙に細いサウンドだと感じると思います。
何故でしょう?
結論からいうと、センターPUの磁界が影響しているですよね。
試しに、CENTER PUを外して2PU状態にして音を出してみると、
FRONT、CENTER共に3PUの時とは全く違った音になるはずです。
では、どういうことかというと・・・。
写真のLPの3PUはFRONTから、S-N/S-N/N-Sの順番で並んでいます。
お互いの磁界に影響が無い位、離れていれば大きな問題は生じないと思うのですが、
これだけPUの距離が近ければ、影響は大きいです。
FRONT PUのN極とCENTER PUのS極はお互いに引っ張り合って、磁界を広げますし、
CENTER PUのN極とREAR PUのN極は反発しあって、磁界を狭めてしまいます。
その磁石の作用が音に影響を与えている訳なんですよね・・・。
よって、仮にCENTER PUの向きを逆(スクリューをREAR側に)すると、
FRONTの音が細くなり、REARの音が太くなります。
3つのPUのバランスをそろえるならば、FRONTから、S-N/S-N/S-Nというように
PUの向きをそろえるか、見た目を気にするのであれば、マグネットを入れ替えて、
配線の+-を入れ替えるしかありません・・・。
磁界の話を長々と書いても何の事かさっぱり分からないと思うので、
砂鉄を使って簡単な実験をしてみました。
コチラはFRONT PUとCENTER PUの間で起こっている作用で、
2つの磁石に砂鉄が引っ張られあっているのが良く分かると思います。
コチラはCENTER PUとREAR PUの間に起こっている作用で、
2つの磁石が反発しあっているので、その間の砂鉄はハッキリと分かれています。
こうやって目で見てみると、良くお分かりいただけますよね?
実はLP3PUで起こる事はPU同士の距離の近いギターでも起こりえます。
写真のHSHのギターは現在の状態でFRONTからS-N/S/N-Sという順番で並んでいますが、
仮にREARのPU交換を行ったとして、磁極がS-N/S/S-Nとなった場合は、
CENER PU、REAR PUの音量バランスが狂ってしまいます・・・。
HSHやSSH配列のギターはハムバッカーとシングルPUの音量や音質のバランスが・・・。と考えてしまいがちですが、
逆に考えると磁極の向きを工夫する事によって、ある程度のバランスを取る事も可能になります・・・。
(実際にはシングルコイル同士、ハムバッカー同士、シングルコイル+ハムバッカーで作用の仕方が不思議な事に違います。)
よって、PU交換やPUの増設によって磁界が音に与える影響というものを充分に考えなくてはいけないと言う事ですね・・・。
ちなみに磁石の着磁を調べる「ポラリティーテスター」という道具があると、非常に便利ですね。
ではでは。